巨人清武英利GM(61)が18日、電撃解任された。東京・大手町の球団事務所で、桃井恒和代表取締役社長(64)が会見で発表した。この日、午後2時から巨人の親会社である読売新聞グループ本社が、臨時取締役会を開催し、11日の「清武声明」から始まった一連の騒動に懲罰を下した。球団の専務取締役でもある長嶋茂雄終身名誉監督(75)も「清武氏の言動はあまりにもひどい」と、許される余地なしと断罪した。清武氏の解任と同時に、新オーナーはじめ人事も発令された。

 読売グループから、そしてプロ野球からの追放だった。球団の発表によれば、専務取締役として巨人球団の臨時取締役会に参加した長嶋氏は、一連の手続きの中で「清武氏の言動はあまりにもひどい。戦前戦後を通じて巨人軍の歴史でこのようなことはなかった。解任は妥当だと思います」と発言したという。長嶋氏が、人物の資質について不快感を表明するのは異例中の異例といえる。それだけ今回の騒動を苦慮していたとうかがえる。桃井社長は「非常に強い口調でおっしゃった」と振り返った。

 こうした発言を球団自ら発表したところに、清武氏を断罪する形で、騒動に終止符を打ちたいという読売グループの意図が見える。「ミスター・プロ野球」と呼ばれ、人気ある長嶋氏による断罪は、球界内で最大級の“懲罰”と言っていい。

 桃井社長は「終わらせないといけない。長嶋さんもおっしゃっているんですけど、これほどの混乱を招いたことはない。大試練を、チームとフロントが一体となって何としても乗り切っていかないといけない」と、同氏の発言を繰り返して出直しを強調した。清武氏は取締役以外の職も解かれており、今後は球団の許可なく球団事務所へ出入りすることもできない。すでに読売新聞社も退職しており、本社とも関係がなくなる。

 午後2時から、東京・銀座の読売新聞東京本社で、同グループ本社の臨時取締役会が行われ、清武氏の解任動議が可決された。続いて同所で行われた巨人の取締役会でも可決。グループ本社の会議の段階で、解任人事は発令されており、球団の取締役会に清武氏が呼ばれることもなかった。同3時40分に球団事務所で桃井社長が解任を通告すると、清武氏はひと言「わかりました」と答えたという。

 ただ、動きだすのは遅かった。11日の「清武声明」から1週間、騒動は日々拡大。日本シリーズに甚大な迷惑をかけた。その間、渡辺会長は言うまでもなく、清武氏、桃井社長、誰1人として、球界およびファンに明確な謝罪を口にしなかった。この日、桃井社長は「プロ野球日本シリーズが行われているさなか、このような事態となったことにつき、プロ野球関係者の皆様、ファンの皆様に心よりおわび申し上げます」と、ようやく言った。騒動にピリオドを打っても、プロ野球界における読売新聞社と球団フロントの罪は消えない。【金子航】

 ◆清武英利(きよたけ・ひでとし)1950年(昭25)10月12日、宮崎県生まれ。立命館大経済学部卒。75年に読売新聞社入社、中部本社(現中部支社)社会部長、東京本社編集委員、東京本社運動部長などを歴任。04年8月、読売新聞から出向の形で巨人の取締役球団代表兼編成本部長に就任した。10年10月には読売新聞東京本社を退社。今年6月から新設されたゼネラルマネジャー(GM)も兼任となった。