吉兆がキターッ!

 ソフトバンク内川聖一外野手(29)が3日、中西太臨時打撃コーチ(78=日刊スポーツ評論家)から打撃指導を受けた。横浜時代の08年春に直接指導を受け、その年は初の首位打者を獲得した。験のいい特別授業で、自らのフォームをきっちり復習する。神様、仏様、フトシ様のご利益で、連続首位打者はもらった!?

 笑う門には福来る!?

 内川にとっては縁起のいい中西道場は、笑い声を飛ばしながら明るい雰囲気で進んだ。室内練習場でのマシン打撃。いきなり「お前は黙ってても打てる」と職場放棄のようなジョークをかまされたが、内川は中西コーチの助言にうなずき、バットを握った。「怪童」と呼ばれ、9球団で監督やコーチを務めた名伯楽の言葉が静かに耳に入ってきた。

 「体と腕とバットの連動性を言われ、ああそうだったなと。久しぶりに聞かせてもらいました。技術的には同じことでも、アプローチが違うと分かりやすい」

 金言の大半はフォームうんぬんより感覚的な部分だった。ただ内川には「中西塾」が吉兆として記憶の奥深くにある。横浜時代の08年春。恩師と呼ぶ杉村育成総合コーチ(当時)の紹介で、中西氏の熱血指導を受ける機会があった。

 「最高打率の年の春でしたね。神宮の室内練習場で、中西さんがヤクルトの臨時コーチをされてて。最初は言われたことが分からなかったけど、継続してやるうちに分かりました」

 07年オフに大分市の実家に帰った際は家族に「来年だめだったら野球をやめようと思う」と告げていた。背水の覚悟で挑んだ年だけに、どんな助言もむさぼり聞いた。打撃開眼していく中で理解でき、最終的に打率3割7分8厘で初の首位打者。自信を持ち、中西塾の真意を身をもって感じることができた。人生を変えた?

 師はこの日「俺の目に狂いはなかった。お前のおかげで飯が食えた」と中西流のジョークで成長を褒めた。

 中西コーチは「打撃の土台の話をしたよ」と詳細は伏せた。それでも内川は4年ぶりの指導に「早い段階で話を聞けたのは参考になる。結果を出して喜んでもえらえるとうれしい」とモチベーションを高めた。宮崎キャンプは第1クールが終了。体重は理想的な87キロをキープし「体が締まった感覚。動いてみると軽い。去年よりいい」とコンディションは良好だ。「第1クールは悪くないし、これからもっと力を入れて振ります」。吉兆の出現で2年連続首位打者への調整ペースも上がりそうだ。【押谷謙爾】