ヤクルトの新外国人オーランド・ロマン投手(33=台湾・兄弟)が19日、初の実戦登板で極上のデビューを飾った。LG(韓国)との練習試合で先発し、2回を投げて無安打無失点。最速147キロの速球を武器に4三振を奪い、昨季まで台湾リーグで2年連続奪三振王に輝いた実力を見せつけた。ヤクルトの充実した先発投手陣、そして外国人枠の「一角崩し」に猛アピールした。

 名前とは裏腹に、ロマンは力強い速球で打者を次々になぎ倒した。1回先頭に速球で空振り三振を奪うと、変化球を増やした2回は3アウトすべてを三振で奪った。2四球は与えたが、最後の打者は外角低めの速球で見逃し三振。ベールを脱いだ台湾の奪三振王は「ストライクゾーンの違いを心配していたが、しっかり学ぶことができた。もっと練習すれば速球のスピードも上がっていくよ」と、最速147キロをマークしたデビュー戦を振り返った。

 周囲も驚く快投だった。捕手の新田は「真っすぐに強い韓国の打者があれだけ押し込まれてましたからね。力感のないフォームだから余計に速く感じると思う。どれもこれもいい球だった」と絶賛を惜しまなかった。荒木チーフ兼投手コーチも「真っすぐがあんなに速いとは思わなかった」と言う期待以上の内容。当初指摘された2段モーションもすぐ修正し、この日は素早いけん制を見せるなど対応力、器用さも光った。

 ヤクルトの先発は石川、館山、由規、村中、増渕、赤川の6人が固める充実の布陣を誇る。外国人も投手は林とバーネット、野手はバレンティンとラスティングス・ミレッジ外野手(26=ホワイトソックス傘下3Aシャーロット)の登録が有力。だが昨季は館山、由規、村中ら先発陣の離脱が響き優勝を中日にさらわれた。ロマンが快投を続ければ、他選手の故障や不調などでローテに食い込む可能性は十分に出てくる。

 習得中の魔球ナックルも2回に2球を投げ「これから慣れていけば」と使えるめどが立ってきた。次回はオープン戦初戦の25日阪神戦(浦添)を予定。ロマンの挑戦から目が離せなくなってきた。【大塚仁】