ニュー安藤が復権アピールだ。阪神安藤優也投手(34)が22日、激しい先発争いの中で確かな結果を残した。今季初実戦となった楽天戦。3回2失点だった小林宏の後を受け、2番手で4回からマウンドに立ち、2イニングを1安打無失点に抑えた。

 かつての剛腕スタイルを取り戻しつつある。この日は普段よりも腕を下げて投げ、球威のある直球を追い求めた。先頭中村は小気味よく追い込むと、最後は外角速球で空振り三振に料理。まともにバットを振らせない、伸びやかな球筋だった。

 「低めに力強くいっていたと思う。今日は角度というより、投げやすい位置で腕を振ろうと。真上から投げおろすより、スリークオーターの方が強く振れる感じがする」

 モデルチェンジが奏功し、2月下旬に早くも最速144キロ。新球チェンジアップを試す余裕もあり、好調ぶりをアピールした。

 内外角に投げ分ける制球力、変化球の精度…。昨季1試合登板に甘んじ、苦悩する姿はない。08年から3年連続開幕投手に輝いた実力派が、よみがえりつつある。和田監督も「低めに集めながら変化球、真っすぐも外角に決まっていた。状態はかなり上がっている。(ローテ争いに)もう入っている」と評価した。

 前日21日、開幕ローテーション候補の久保が右肩の張りで本隊を離脱。混沌(こんとん)とする先発陣争いで、実績のあるベテランが存在感を示した。昨季終了後、年末まで寒風吹きすさぶ鳴尾浜でブルペン投球を重ねた。キャンプでは若手にまじって居残り練習も敢行。鏡の前でシャドーピッチングを続けた。「秋からやってきたことは、いまのところ間違っていない。まだ始まったばかりだから」。虎の一時代を築いた右腕が、なりふり構わず、開幕切符をつかみに行く。【酒井俊作】