<オープン戦:阪神0-1ヤクルト>◇13日◇甲子園

 寒風吹きすさぶ甲子園だからって完封負けじゃ、しゃれにもならない。オープン戦でよかった?

 いや、オープン戦だからこそ、売り込まなきゃいけない若手の“寒さ”が身に染みる。前夜の激励会。和田豊監督(49)は「目を閉じてください」と語りかけ、甲子園を目指した高校時代を想起させた。これじゃ甲子園が泣いちゃうよ。

 あまりの寒さに、チームスローガンもかすんでしまった。「熱くなれ!!」から「寒いぞ!!」だ。たったの3安打で、オープン戦4度目の完封負け。低いのは気温だけではなかった。

 和田監督

 主力はある時期がきたら、エンジンをかけてくる。そういう時に、若い選手が同じような感じでやっている。

 開幕に向けた調整の時期で、勝敗うんぬんは関係ない。レギュラークラスは、放っておいても調子を上げてくる。その点では、不安を募らせることはない。問題は、3月に結果を必要とされる選手から「熱」が感じられないことだ。この日も大和、上本は持ち味を発揮したが、彼らは開幕1軍が決定的となった立場。外野争いで後れを取る林威助は3打数ノーヒットに、拙守もあった。途中出場の荒木や野原将らから光るものは見られなかった。少ないチャンスで気迫をアピールしなければ、首脳陣の目に留まるはずがない。指揮官は物足りなさをあらわにした。

 和田監督

 寒かろうが、自分を使ってくれというものが出てこないと。

 あす15日からの関東遠征からさらに主力の調整の場は増え、若虎のチャンスはさらに少なくなっていく。この甲子園シリーズで、結果を残さないと、1軍はさらに遠くなる。1、2軍の距離はさらに広がるばかりだ。

 前夜の激励会で、和田監督は「魔法のスピーチ」で全選手を鼓舞した。目を閉じて、甲子園を目指した高校時代を思い出させた。優勝という目標に向かって、チームでガムシャラに白球を追う。その指針を示した直後だけに、歯がゆい内容だった。

 和田監督

 オープン戦で2点取れば勝てる試合を3試合している。

 勝利にほんの少し足りない「スパイス」は、この時期で言えば、若手の奮起かもしれない。きょう14日は甲子園で行われる最後のオープン戦。寒さを忘れさせるプレーを見せることができるか。若虎の意地に期待したい。【田口真一郎】