ソフトバンク明石健志内野手(26)がタカの「走り屋」を襲名する。17日の楽天戦は雨天中止となったが、ここまで12球団最多の8盗塁と走りまくり、01年中日荒木以来となる2桁での“開幕前盗塁王”は目前。打率3割2分4厘の打撃も好調で、2番遊撃での開幕スタメンが有力だ。昨年盗塁王の1番本多との足攻コンビが12年型オーダーの前輪となる。

 昨年両リーグ断トツの180盗塁を誇ったホークスの機動力は今年も変わらない。米国挑戦した川崎の1番に本多が繰り上がり、空いた2番に潜り込んだ明石の足が止まらない。オープン戦11試合で12球団最多の8盗塁。練習試合も含めると3戦連続の9盗塁だ。2桁盗塁に向けて「走り屋です。走らないと使ってもらえない。結果を残さないといけませんから」。私生活で日産スカイラインを駆る男がガンガン攻めの走りをする。

 好調の理由として10年11月に骨折した左足甲の回復を挙げた。「去年は痛いってのがあって、行けない時があった。今は怖さもありませんしね」。スタートとスライディングにも自信を持っている。「球種やこの投手は変化球やワンバウンドが多いなとか見てます。そんなに焦ってスタートはしていません」。この日の楽天戦は雨天中止。静岡・草薙球場のブルペンを使って打撃練習し、今日のDeNA戦に向けて汗を流した。オープン戦は残り7試合。総仕上げの時期だけに「三盗はまだもう少し先ですかね」と不敵な笑みを浮かべた。

 オープン戦の盗塁は1試合平均0・73個で、このペースなら13個に達する。2桁での“開幕前盗塁王”となれば01年の中日荒木(10個)以来だ。期待を込めてシーズン換算すれば100個超え。「世界の盗塁王」阪急福本が72年に樹立した日本記録106個に接近できてしまう。60盗塁で2年連続タイトルを獲得した昨年の本多はオープン戦は3盗塁とブレーキをかけていた。ただ首脳陣に売り込む立場の明石に爪を隠している余裕などない。現役時代に4度盗塁王の大石ヘッドコーチは「積極性がある」と評価していた。

 本多が1番におり、2番としてカットや空振りでアシスト役を求められる場面は多い。それでも出塁すれば狙っていく。その打撃はオープン戦の打率3割2分4厘。「内川さん、多村さんが上にいます」と控えめでも、規定打席到達者ではチーム最高だ。2番遊撃での開幕スタメンを確定させるまで、タカの走り屋は攻撃の足を緩めるつもりはない。【押谷謙爾】