恩返しします!

 広島堂林翔太内野手(20)の初の開幕1軍スタートが26日、決まった。広島市内の護国神社で必勝祈願を行い、野村謙二郎監督(45)が「このメンバーでいくつもり」と明言した。キャンプ中から、指揮官の直接指導を受けるなど期待は大きい。「活躍することが自分の使命」。大ブレーク、そして野村監督を胴上げすることが、最大の恩返しとなる。

 目標を1つ達成した。3年目の堂林が、開幕1軍切符を手に入れた。だが、未来の4番候補の顔に、浮かれた様子はない。「(アピールはできたかは)はっきり言えないけど、少しは…」。晴れ舞台に立つ権利を得ながら、胸中は複雑だった。結果を残して、自分も、周囲も納得させたい。大きな役目を自身に課した。

 堂林

 期待されているのは分かりますけど、期待されるだけでは…。それに応えるのが、チームにとっても、自分にとっても良いこと。シーズンに入って活躍することが、自分の使命です。

 オープン戦の打率2割4分3厘は、10打席以上打席に立った選手の中ではチーム4位の成績だ。それでも、満足はしていない。右の大砲として成長を期待されるが、長打は2本の二塁打のみ。「シーズンに入って(長打が)増えるように、しっかりバットを振っていきたい」と悔いなきスイングを続けることを誓った。

 春季キャンプから1軍に抜てきした野村監督は、堂林について「スター性がある。しっかり育て上げる責任がある」と使命を口にしていた。言葉どおり、自ら幾度となく直接指導を行った。オープン戦で1割1分1厘まで打率が低迷しても、我慢して使い続けた。堂林はオープン戦期間中、試合前にフェンス沿いでの素振りがルーティンだった。目線がぶれる癖を治すための練習にも、指揮官の助言があった。期待と恩義は痛いほど感じている。

 堂林

 何が何でも結果を出して、1年間通して1軍にいられるようにしたい。

 開幕カード中日3連戦戦(30日からナゴヤドーム)で、デビューすることが濃厚だ。地元凱旋(がいせん)でプロの1歩目を踏み出し、握ったバットで恩を返していく。【鎌田真一郎】