<日本ハム0-1西武>◇1日◇札幌ドーム

 日本ハムが、栗山英樹監督(50)の積極采配も実らず開幕3連勝を逃した。西武先発の岸の前に打線が6安打に封じ込まれた。最大の好機となった8回2死一、三塁には、2番稲葉篤紀外野手(39)の代打に鵜久森淳志外野手(25)を起用する策も見せたが、得点は奪えなかった。先発で好投した吉川光夫投手(23)を援護できず、チーム50年ぶりの開幕カード3連勝はならなかった。

 最後までホームベースが遠かった。西武先発岸の前に打線が8回途中まで5安打と翻弄(ほんろう)された。松永、ゴンザレスと継投され、9回は1死からスレッジが右前打で出塁したが、小谷野、陽が連続三振に仕留められた。3戦目、指揮官として初めて味わう黒星に、栗山監督は「(勝てなかったことは)申し訳ないです。でも、悔やんではないです」と潔く振り返った。

 1点を取りにいく姿勢は見せた。8回。2死から鶴岡が出塁すると代走中島を起用。続く田中の4球目でエンドランが成功し一、三塁。西武ベンチがサイド左腕の松永を投入したところで、栗山監督は再び動いた。稲葉に代打鵜久森を告げた。「昨日の相性的なものもあった。タイミングを取りづらそうだったし、相手も楽に投げられてしまう」。前日31日に稲葉は松永の前に空振り三振に倒れていた。さまざまな状況を踏まえて判断した一手だった。

 鵜久森も冷静に期待に応えた。「準備はしていた。はやる気持ちを抑えて、落ち着いて打席に立てた」と四球を選びチャンスを広げた。得点できなかったが、お膳立ては完璧だった。9回もスレッジの代走として出場した西川がプロ初盗塁を決め、一打同点の場面は作り出した。「全員の良いところを引き出しながら戦うということ。そのままでは終わらない」。積極的に動いて戦局を動かすまであと1歩だった。

 今季初の完封負けで、前身東映時代の62年に記録して以来、50年ぶりの開幕カード3連勝はならなかった。栗山監督は「今日は僕のせいで負けたと思っています」と責任をすべて背負った。ただ、長いシーズンを見据え「ペナントを戦う上で、種まきするということ」と前向きにとらえた。ただの1敗とせず、したたかに今後への布石とする。【木下大輔】