<ウエスタン・リーグ:阪神1-1ソフトバンク>◇29日◇甲子園

 歳内がマンモスに帰ってきた。高校球児として甲子園を沸かせた阪神のドラフト2位ルーキー歳内宏明投手(18=聖光学院)が先発登板。甲子園球場でのプロ初登板は5回を1失点に抑える好投で、将来の1軍戦力へ、大きな夢を抱かせた。

 歳内は落ち着いていた。初回、2死二塁のピンチで打席に昨季のウエスタン本塁打王・柳田を迎えた。自身初の実戦登板となった3月18日の同カード・教育リーグで痛烈な1発を浴びた相手。ここはコースを攻めたが四球。後続を断つと、その後、2度あった柳田との対戦はいずれも空振り三振に仕留めた。

 「前回の対戦を思い出しました。いい打者なので歩かせてもいいから厳しく投げ込みました。きょうは尻上がりに調子がよくなっていった。真っすぐで押せました。甲子園での登板はマウンドに行くまで意識していたけど、上がってみたらそうでもなかったです」

 5回に捕逸と暴投で1点を失ったが、140キロ台前半の真っすぐとスライダー、そして得意のスプリット(フォーク)を駆使し、5回被安打3、奪三振8の堂々たる内容だった。

 前回、広島戦(安芸)では雨にたたられ、3回で被安打5、2失点という内容以上に散々な出来だった。「高校時代はこんな雨の中で投げたことがないので…」とうつむいた。先輩・秋山の好投を見守った前日28日は「明日は晴れですかね?」と、無意識のうちに空模様を気にしていた。

 「よく投げていたね。ボールそのものもコントロールもよかったよ。フォークもね。今後は細かいコントロールとかコンビネーション、配球とかの勉強だね」。吉竹2軍監督も好投を認めた。

 本人も数ある課題は自覚している。「一番は3回に盗塁を2度(企図)されたことですね。1回はアウトにしてもらいましたけど。あれからけん制球を入れていった。そういうところとか、ですね」。

 もちろん満点ではないけれど熱心な観衆2764人を沸かせた若者のピッチング。東京ドームで巨人に連敗した1軍に未来への希望を届けたのは間違いない。

 ◆歳内の甲子園登板

 聖光学院2年夏から2年連続出場。5試合3勝2敗。40回2/3を投げ、47奪三振。防御率は1・99。昨年の夏は、1回戦・日南学園(宮崎)で10回完投勝ちし16奪三振。続く金沢(石川)戦も9回で14個の三振を奪った。