<ヤクルト4-1広島>◇5日◇神宮
ヤクルトが、頼れる4番の活躍で首位を奪い返した。2点リードの7回、ウラディミール・バレンティン外野手(27)が、2試合連発となる12号ソロでダメ押し点を奪った。バレンティンは5月に入って4戦6発と大当たり。4番で13戦10発と、打順の相性もいい。軸の定まった打線は、前回8回1安打と封じ込められた広島野村も攻略し、4月28日以来の単独首位に立った。前日4日に宮本が通算2000安打を達成した「お祝いムード」が続く。
5回終了時の神宮バックスクリーンに、1人の少年が映っていた。「バレンティンさん、次の打席でホームラン、プリーズ!」。5日はこどもの日。母国にそんな祝日はないオランダ・アンティル諸島出身の怪力助っ人だって、来日2年目になれば、どれだけ大切な日かは知っている。つば九郎も、こいのぼりを持って応援。「彼は幸運の子供。僕にホームランを打ってくれって応援してくれたんだ」と力をもらった。
迎えた7回。約束は守る。無死から、広島今村の外角高めに入った148キロ直球を右中間スタンドにたたき込んだ。軽く振ったようなスイングでも、打球はスタンドまで一直線に伸びた。これで5月に入って4戦6発。リーグ1位を独走する12号は、2位の4本に大差をつける。驚異的なペースで量産体制に突入だ。
統一球2年目。昨年より苦しむ打者が多いが、バレンティンには関係ない。「前のボールを知らないから分からないけど、自分にとっては同じ。いったと思った打球は入る」と言う。プライベートではダイヤのピアスを決めて、神宮にはタクシー通い。それが野球になると別人に変わる。統一球は、米国の公式球より飛ばないとされる。「個人的にはアメリカのボールの方が飛ぶと思う」と、細かいことなんて気にしないパワーがある。
昨季は本塁打王に輝いたが、終盤に大崩れしたことで、キャンプ中は開幕2軍のピンチだった。それが、今は一転。14日には米国・マイアミに滞在中の愛妻と昨年10月に生まれた娘、ミアちゃんが来日する。「試合前は向こうが夜中なので、これから電話で話したい」と笑った。家族が来日した時のために、子供用のヤクルトユニホームをすでにオーダーした。
3本塁打を打った1日のDeNA戦から使う幸運の黒バットは、1本折れて残り1本になった。「持った瞬間から、感触が良かったんだ」。担当者に追加を頼んだが、少し時間がかかる見込み。ノリ出したら止まらない今は、何のボールでも打ち返す「打ち出の小づち」状態。相手投手は、バレンティンのバットを折るしか対策がないのかもしれない。【前田祐輔】



