<楽天1-0西武>◇9日◇Kスタ宮城

 待望の放物線は描かれなかった。西武の主砲中村剛也内野手(28)が、自身ワーストの110打席ノーアーチを記録した。4回に技ありの右前打、9回にも左前打でチャンスメークしたが、4月1日の日本ハム戦以来の今季2号は生まれず。07年8月9日からシーズン終了までの109打席を1打席上回った。「そういう時もあるんじゃないですか」と淡々と話したが、後ろ姿に主砲としての悔しさがにじみ出た。

 不振の理由は1つではないだろうが、本人が口にすることはない。昨年から変わったことを挙げれば、ヘッド部分の直径を2ミリ細くしたバットだが「あまり関係ない」とピシャリ。相手バッテリーの配球や攻め方の変化も「変わらない」と多くは語らず、中島から昨年との打撃フォームの違いを助言されたが「秘密です」と胸にとどめた。過去は振り返らず、結果で示す-。そこには4番のプライドが見え隠れする。

 土井ヘッド兼打撃コーチは「4番は背負っているものが違う。彼は責任感が強い子だし、ヒットだけじゃなく、ホームランが求められる。チーム状況もあって、いつも以上に感じているのでしょう」と話す。中島も「あれだけ打てたんやから、考えすぎてる部分があるのかな」と証言した。中村は「(打球は)上がり始めれば上がる」と冷静に話したが、責任感の強さが、ノーアーチの呪縛を増幅させている可能性はある。

 ワースト記録にも、土井ヘッドは「試練」と定めた。「彼にとって試練。試練というのは、超えられる者しかやってこない。1本出れば、変わってくる。この試練を超えた時、彼はもっといいバッターになる」と予言した。19日の日本ハム戦での敗戦後、中村は「(重圧は)4番を打つバッターの宿命ですから。(どんな状況でも)打たないと」と言った。宿命を背に、今日10日の楽天戦も、バットを振る。【久保賢吾】