<DeNA1-3阪神>◇11日◇横浜

 ボールを投げて抑えるだけではない。阪神能見篤史投手(32)には打者としての自覚があふれていた。2回。1点を先制し、なおも2死二塁で打席が巡る。DeNA高崎の投じた2球目、外角低めに沈むチェンジアップにバットを差し出すと、やや詰まった打球は左翼線に落ちた。「振ったら当たったという感じ。いいところに飛んでくれた」。今季初安打が適時打となった。

 「本職」のマウンドでも躍動感を取り戻した。1回、先頭荒波を左飛に抑え、2番サラサーは見逃し三振。3番筒香との対戦では、初球が147キロを計測するなど好調時の直球の球威を初披露して見逃し三振。「最初から全力で飛ばしました。長いイニングを投げる、投げないは関係なく、行けるところまで行こうと」。1本足でスッと立つ美しい投球フォームと間合いを取り戻し、8回途中1失点で4月13日中日戦(甲子園)以来、約1カ月ぶりの今季3勝目を挙げた。

 交流戦直前の最終登板で息を吹き返した左腕は言う。「まだ始まったばかり。いい時も悪い時も必ずある。144試合終わったときに笑えるように頑張りたい」。チームも3度目の3連勝。投打で奮闘する姿に能見の魅力が詰まっていた。【酒井俊作】