<阪神1-3日本ハム>◇16日◇甲子園

 若き左腕が交流戦開幕投手の責務を果たした。日本ハム吉川光夫投手(24)が阪神戦(甲子園)に先発し、6回2安打1失点でシーズン自己最多タイの4勝目を挙げた。「思ったより雰囲気にのまれずに投げられた。いつも通り、打者に向かって投げられました」。4回まで無安打に抑えるなど、猛虎打線の前に立ちはだかった。

 ちょっと自虐的に振り返るほど、縁がなかった場所だった。広島の名門・広陵出身だが、春夏通じて甲子園出場はゼロ。4月8日ロッテ戦で1438日ぶりの勝利を挙げた際、当時の恩師、中井哲之監督(49)に電話で報告したが「どんな投球したんやって言われて。見てなかったみたいなんですよ。僕じゃなくて(広島の)野村の方を見てたみたいで。まあ、甲子園出てないですからね僕は」。1学年後輩の広島のルーキー野村も、同じ日に先発しプロ初勝利を挙げていた。ちょっと残念そうだったが、この日は07年夏に準優勝した後輩に負けない快投を“聖地”で披露した。

 防御率NO・1左腕はチームの連敗を3で止め、「先取点を与えず、いけたのが良かった。今後も続けていきたい」。4勝目は武田勝、斎藤に並ぶチームトップタイでプロ通算10勝目。今後も白星を積み重ねていく。【木下大輔】