<広島0-1楽天>◇16日◇マツダスタジアム

 広島ブライアン・バリントン投手(31)が、来日2度目の“完封劇”を演じた。今季最多の110球を投げ、9回5安打無失点。前回登板の8日阪神戦(ハードオフ新潟)で、5回2/3で8安打6失点と打ち込まれた悪夢を拭い去った。打線の援護なく延長11回で敗れ、交流戦初戦は1勝1分け6敗となったが、昨季13勝右腕が復調してきた。

 最後まで祈った。9個の0を並べたバリントンは、ベンチの最前列で身を乗り出していた。9回1死満塁のサヨナラのチャンス。丸が一邪飛に倒れ、堂林が二飛を打ち上げると、顔をゆがめラバーをたたいた。白星はすり抜けたが、試合後は気持ちを落ち着けた。

 バリントン

 9回はみんな見極めて、満塁のチャンスをつくったけど、最後の1本が出なかった。でも、勝ちがつくかどうかは展開次第だから仕方ないよね。

 9回5安打無失点の申し分ない投球だった。つまずいたのは、立ち上がりだけ。1回先頭聖沢に初球144キロを右中間に運ばれ、いきなり1死二塁のピンチを迎えた。だが、続く内村のバントを、倉が三塁で刺し流れを変えた。銀次、ガルシアを内野ゴロに打ち取り、無失点で切り抜けた。

 バリントン

 キーは次のバント処理を、倉さんが処理したこと。そこを、切り抜けて、思うように投げられた。

 尻上がりに調子を上げた。最速147キロの直球を武器にした、強気の配球。2回以降は先頭打者に出塁を許したのは4回だけだった。三振も自己最多タイの10個を奪った。9回まで得点を与えなかったのは、来日初完封となった昨年4月29日中日戦(ナゴヤドーム)以来、2度目だった。

 交流戦の開幕を任されても、心は揺れなかった。チームは昨季の交流戦で6勝16敗2分けと、借金を10も増やした。しかも、過去7年で交流戦開幕は1勝5敗1分けという負のデータものしかかっていたが、冷静を保ち続けた。

 バリントン

 1年間ローテを守れば、30回くらい登板がある。その中で、たまたま交流戦の初戦だっただけで、アプローチも投球スタイルも変わらない。

 仕事はまっとうした。1安打の好投を見せた楽天辛島よりも、長くマウンドに立ち続けた。あとは、白星がつくことを信じ、またマウンドに上がる。【鎌田真一郎】