<西武10-0ヤクルト>◇25日◇西武ドーム

 西武石井一久投手は38歳にして、いまだに成長を続けている。それを証明したのが今季から本格的に使い始めたチェンジアップだ。「連敗中なので先に点を与えないようにと頑張った」という1回2死一塁からバレンティンを新球で空振り三振に仕留めてペースをつかむ。援護をもらった後の4回にも中軸の飯原、バレンティンをチェンジアップで内野ゴロ。大事な中盤を少ない球数で乗り切り、ヤクルト時代以来5年ぶり、西武では初の完封を引き寄せた。

 プロ21年目は「老いは怖い」と年齢による自身の変化を素直に認める。「若いころは真っすぐとスライダーだけで抑えられた。スライダーをベースの前に落とせば、面白いように空振りが取れた」。ヤクルト時代は、左腕からの剛速球と代名詞の切れ味鋭いスライダーで三振の山を築いた。だが年齢とともに球速は落ち、投球も変化を強いられる。そこで球種を増やし、日米で培った経験で投球を「組み立てる」ことでアウトを重ねた。

 3打数無安打に終わったヤクルト宮本は「打ちごろのところからすーっと逃げていく感じ」と、2回の第1打席で空振り三振に切られた石井のチェンジアップを評価した。続けて「今日のボールを投げていれば、あと3年はできるな」とかつての同僚をたたえた。鋭く曲がるスライダーとは毛色の違う、回転せずに落ちていくチェンジアップを加えたことは投球の幅を格段に広げていた。

 チームが低迷し、抑えだった涌井も離脱するピンチの中で1人で投げきった価値は大きい。5年ぶりの完封にも「あまり興味ないですね。長くやってるんで、そんなに」と淡々としたもの。だがそのベテランが、苦しむチームをしっかりと支えている。【大塚仁】