<ヤクルト10-5日本ハム>◇5月31日◇神宮
ようやく泥沼から抜けだした。ヤクルトが13安打10得点の猛攻で連敗を10で止めた。初回、畠山和洋内野手(29)が適時二塁打で9試合ぶりの先制点を挙げると、3回には2カ月ぶりの2号ソロ本塁打で加点した。早大時代に神宮で活躍した日本ハム斎藤を4回KO。8試合連続1得点以下という記録的貧打の鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように打ちまくった。さあ反攻の6月だ。
長い長いトンネルを抜けると、みんなの笑顔が待っていた。5月16日のソフトバンク戦を最後に2週間遠ざかっていた勝利。クラブハウスへ歩みを進めた小川監督は、球場を去る前に足を止め、右翼席のファンに深々と頭を下げた。
「毎日毎日応援してくれて、負けてばっかりだった。連敗が止まって、本当に良かった」。感謝、謝罪、反省、そして巻き返しへの思い。指揮官が下げた頭に、すべてが詰まっていた。
閉ざされ続けた勝利の扉は、4番のバットがこじ開けた。1回1死一、三塁、畠山が日本ハム斎藤の高めに入った直球を見逃さない。右中間フェンス直撃の適時二塁打で9試合ぶりに先制点を挙げた。二塁上で珍しく拳を握りしめる。「強く打てる高めのボールを待った。しっかりとプランを持っていけた」と言った。1点差に迫られた3回は、左翼席に3月31日以来、45試合174打席ぶりの2号ソロをたたき込んだ。
4番が引っ張った1発に価値がある。開幕4番で迎えた今季は不振で7番に下がり、今回もバレンティンの2軍落ちでつかんだ「昇格」だった。右方向に安打は出るが、強い打球が左に飛ぶ機会は減った。最近では相手チームの外野が、右中間寄りに守備隊形を敷くようになっていた。
「僕にとっては悔しいこと。怖がられていない」。バットを振り続け、この日の練習でも右手のひらに深さ5ミリほどのひび割れができた。手の中の肉が見えるような状態。詰まると激痛が走るが、ジャストミートなら問題ない。畠山らしい、飛距離十分の高い放物線で決めた。
さらに飯原のソロ、ミレッジの満塁本塁打で打ち勝った。39年ぶりの10連敗に、ベンチ前には盛り塩を置いた。球場入りの際は球団マスコット「つば九郎」が全選手にお清めの塩を撒いた。最後は小川監督の手に、大量の塩を塗りつけるように握手。みんなが願った1勝だった。
連敗は終わり、月も替わった。「これからも4番の打撃をしたい」と畠山。10連敗はしたが、47試合を終えて21勝23敗3分け。悲観する必要のない数字から、再スタートだ。【前田祐輔】



