<阪神1-6オリックス>◇9日◇甲子園

 レンジャーズが球児に熱視線だ。ジム・コルボーン環太平洋スカウト部長(67)が、9日のオリックス戦を観戦。今季FA権の取得条件を満たした阪神藤川球児投手(31)について、タンパリング(事前交渉)に注意しながら「メジャーでも十分投げられる」と語った。藤川が海外FA権取得後、公の場でメジャーに高評価されるのは初めて。オフの動向が注目される。

 この日、バックネット裏には強豪レンジャーズのスタッフが陣取った。ベテランのコルボーン環太平洋スカウト部長、ジョシュ・ボイドプロスカウト部長ら3人だ。阪神が一方的に敗れ、守護神の出番はなかったが、熱い視線が注がれていた。90年代にはオリックス投手コーチも務めたコルボーン部長は、踏み込んで発言した。

 「今回は特別に2人(藤川と鳥谷)を見に来ているんだ。藤川はメジャーでも十分に通用するボールを投げていた。あの真っすぐのキレは1つの強みだね。明らかにメジャーのブルペンに入れるだろう」

 前日8日も同カードを視察。9回に登板した藤川の剛腕ぶりを目の当たりにしていた。いきなり先頭の代打北川に151キロ、153キロ…。代名詞の「火の玉ストレート」はメジャーでも魅力的に映る。投球の模様をビデオ撮影する念の入れようだった。レンジャーズにはダルビッシュ、上原、建山が所属しており、日本人投手を高く評価している。藤川が加われば先発-中継ぎ-抑えの日本人完全リレーにも期待が膨らむ。

 藤川は07年オフに初めてメジャー挑戦を公言し、ポスティング制度での移籍を訴えてきた。ポスティング移籍を認めない球団の方針で実現しなかったが、今年4月10日に海外FA権を取得。自らの意志で海の向こうに渡る権利を手にし、球団側からは残留要請を受けた。自身は「何もない」と話し、FAの話題を封印。悲願の日本一に向けて、日々全力を注いでいる。

 それでも、米球界の注目は日増しに高まる一方だ。レンジャーズは2月の沖縄キャンプも視察。ドジャースやパイレーツで投手コーチを歴任した同部長は「最低でも、あと1、2回は見たいし、見に来ないといけないね」と話す。タンパリングに配慮し、あくまで個人への評価にとどめたが、今後も調査を継続する。これまでジャイアンツ、パイレーツなども足を運び、獲得調査を行っている。阪神にとって欠くことのできない守護神は、海外でも注目の的になってきた。

 またレンジャーズのスカウト勢は、順調なら今季中に海外FA権を取得する阪神鳥谷敬内野手(30)にも注目する。3回に痛烈な中前打を放ったほか、5回には背走しながら野中の飛球を好捕した。好守強打がセールスポイントのユーティリティープレーヤーについてコルボーン部長は「まだ分からない。これからも見ていかないといけない」と話した。これまでメジャーでは日本人の内野手が苦戦している背景もあり、慎重な姿勢を示す。今後も視察を続け、鳥谷のメジャーへの適性などをチェックする。

 ◆ジム・コルボーン

 1945年5月22日、米カリフォルニア州生まれ。カブス、ブルワーズ、マリナーズなどを経て、90年から4年間オリックス1、2軍投手コーチ。退団後はマリナーズの環太平洋スカウト、ドジャース投手コーチなどを歴任し、08年からレンジャーズで現職。