<楽天2-1巨人>◇17日◇Kスタ宮城
「父の日」に最高の孝行息子が誕生した。楽天ドラフト2位ルーキーの釜田佳直投手(18)が、巨人戦に初先発し、プロ初完投で無傷の3勝目を挙げた。交流戦の王者に対し、ひるむことなく最速147キロの直球を中心に全力投球。9回5安打1失点(自責は0)に抑え、10年から続いていた巨人戦の連敗を8で止めた。星野仙一監督(65)に就任2年目で巨人戦初勝利をプレゼント。負ければBクラス転落の危機を救った。
腕が引きちぎれるくらい、力を振り絞った。9回、釜田はプロ初完投へ向け、ゆっくりとマウンドに上がった。「最後なので、自分の持てる力を出そうと。4番からだったので最大限の力を出そうと思って投げました」。阿部からの巨人打線に対し、18球全てに神経を集中させた。ストライクごとに観衆2万人超の大歓声が響く。2死一塁、小笠原を141キロの直球で左飛に打ち取った。その瞬間、大きなバンザイで喜んだ。
10年から対巨人8連敗中だった。重苦しい流れを高卒ルーキーが変えた。星野楽天にとっても巨人戦初勝利。試合後に星野監督は釜田と握手し、肩をもみもみしながら目を細めた。「すげーやつだ。自分で決着をつけてこいと、最後まで投げてこいという気持ちだった」とうれしそう。2月のキャンプからブルペンで立ち投げしかさせず、大事に育てた秘蔵っ子が最高の結果を持ってきてくれた。
真っ向勝負で内角を攻めた。5回と9回に最速147キロをマーク。「技術だけではないと思ったので、気持ちで攻めました。ジャイアンツだろうがどこだろうが、直球で押してやろうと思って投げました」。度胸満点の投げっぷりだった。
その度胸の良さが1球に表れていた。3回、小笠原への3球目はフォークだった。2月のキャンプ終盤、キャッチボール相手の川井から「基本のキャッチボールから変化球を投げた方がいい。チェンジアップは腕が緩むから、フォークを投げたら」と助言された。本格的に練習を始めたのは2~3週間前で、公式戦で初めて投げたのは前回10日のDeNA戦。「隠し玉です」と本人も話す習得中の必殺球を大ベテランにかまし、3球三振に打ち取った。
球界NO・1左腕の杉内との投げ合いも制し「いろいろ吸収したいと思っていました。勝ち…勝ててよかったです」とかみながらも、初々しく笑った。星野監督が「1点差で9回。どんな投球をするか見させてもらったが、何も変わらん。それでいい。新人の高校生が連敗をストップか。他のやつは何をやってるんだ!」と語気を強めるほどの投球だった。釜田は「完投したので、次は完封を狙います!」と気持ちよく宣言。実現してくれる予感は漂っている。【斎藤庸裕】
◆釜田佳直(かまた・よしなお)1993年(平5)10月26日、石川・小松市生まれ。金沢(石川)では3年春夏甲子園出場。夏は3回戦で自己最速の153キロを計測。11年ドラフト2位で楽天入団。米挑戦が決まっていた岩隈(現マリナーズ)の背番号「21」を引き継いだ。177センチ、78キロ。右投げ右打ち。
▼釜田がプロ初完投勝利を挙げ、高卒新人では08年唐川(ロッテ)以来の開幕3連勝。高卒新人が巨人戦で完投勝利は、89年9月24日川崎(ヤクルト)以来、23年ぶり。ドラフト制後では67年江夏(阪神)87年近藤(中日)89年川崎に次ぎ4人目。釜田はこの日が巨人戦初登板。ドラフト制後、高卒新人の巨人戦初登板初勝利は08年9月6日由規(ヤクルト)以来9人目だが、完投勝利は87年8月9日にデビュー戦でノーヒットノーランを達成した近藤に次いで2人目の快挙だ。これで釜田の防御率は1・14となり、今季の交流戦5位。得点圏に走者を置いて31打数4安打、被打率1割2分9厘と、18歳の釜田がピンチで落ち着いた投球を見せている。



