<巨人3-2阪神>◇8日◇東京ドーム

 こんな屈辱たまりませんわ。阪神は巨人に同一カード3連敗を喫し、自力優勝の可能性が消滅した。勝率5割で旅立った2週間の遠征はズルズルと6連敗で終え、結局1勝10敗。坂井信也オーナー(64=電鉄本社会長)は「辛抱するとき」と甲子園9連戦での浮上を期待しつつ、球宴期間中にも和田豊監督(49)とトップ会談で善後策を探る考えを示した。

 数十個のメガホンが左翼席から投げこまれる。虎党が失望する瞬間が、早くもやってきた。75試合目で自力優勝の可能性が消滅した。真弓前政権でもなかった5年ぶりの6連敗で、首位巨人とは13ゲーム差。昨年に続き、厳しい現実を突きつけられた。

 和田監督

 ここのところ、吹っ切れていない。引きずったような戦いになっている。とにかく、もう甲子園に帰ってやるしかない。何とか踏みとどまってやるしかない。甲子園で…。

 答えた質問はたった1つだけ。自ら会見を打ち切って、足早に球場を後にした。勝率5割で迎えた2週間の長期遠征は、1勝10敗。無残というしかない。甲子園9連戦で巻き返しを誓ったが、その言葉もむなしく響いた。

 節目の敗戦は、巨人との勢いの差を見せつけられた。中盤まで中軸がホールトンを全く攻略できない。先発安藤をはじめ、投手陣は防戦一方。よく1点差で終わったという印象だ。ミス連発の黒星街道だったが、この日は気力を失っているかのように見えた。借金2桁まで、あと1つ。転がり落ちるようなチーム状態だ。

 和田阪神は建て直せるのか。逆転優勝は奇跡が必要な事態に、球団トップも動かざるを得なかった。

 坂井オーナー

 監督と会う機会があれば、意思を確認して。食い違いがあっては困るから。監督は監督で、フロントはフロントで考えてることあるでしょうけど、どっちがどうではなくて、両方でやっていけるのがいい。オールスター期間にでも、もしかしたら。

 自力優勝の可能性が消滅した直後に、虎の総帥は神戸市の自宅で取材に応じた。そこで球宴休み中に和田監督と「再建会談」を行うことをほのめかした。優勝の可能性自体はゼロになったわけではない。3位に入れば、クライマックスシリーズに進出できる。シーズンを捨てるには早すぎる。育成目的で若手主体に切り替える考えは、オーナーにはない。それは和田監督も同じだろう。今後、いかにチームを立て直していくか。フロント、現場のトップが方向性を確認する場になりそうだ。

 坂井オーナー

 首脳陣がどうやこうやという問題ではないんじゃないかな。チーム全体が乗りきれないというか、戦力的に劣ってるとも思わないし、勢いに乗れてない。(補強は)全然考えてない。それでよくなるようなものじゃない。泥沼で補強しても、また来年困るやろ。

 緊急補強やコーチ陣の入れ替えなどの選択肢は現時点で消極的だ。打つ手がない現状。選手を信じて待てるのか。西の人気球団は難しい局面を迎えている。【田口真一郎】