巨人のドラフト6位ルーキー江柄子裕樹投手(25)が、22日のヤクルト戦(神宮)でプロ初先発する。今季、新人の高木京、田原が中継ぎで1軍に定着。ともに勝利を挙げた。江柄子が新人3人目の勝利投手となれば、97年の三沢、入来、小野以来の記録となる。江柄子は20日、ジャイアンツ球場で行われた先発投手の練習に参加。ブルペンで32球を投げた。「自分に勝ちがつかなくとも役割を果たしたい。来週また、ここで練習できるよう頑張ります」と1年生らしく語った。

 貯金30で優勝マジック点灯も目前。なぜこの大事な時期に、未勝利の新人を送り込むのか。川口投手総合コーチは「球種が豊富でまとまっている」とし、起用の理由を加えた。

 川口コーチ

 チーム防御率がいいのは、ルーキーたちが頑張っているから。周囲の投手がやる気になっている。可能性のある投手を当てはめて、どこまで食い込めるか。気の強いピッチャーが残るんだ。

 「先発江柄子」は単なる穴埋めではない。本人にとっては使えるか否かのテストであり、投手陣全体にとっては、緊張感と刺激を与える意味合いがある。先発の一角を担うゴンザレスが故障中で、復帰は9月上旬の予定。だが川口コーチが名前を列挙した江柄子、笠原、岸ら若手がチャンスをモノにすれば、助っ人の復帰する場所はなくなる。

 20日現在、チーム防御率は12球団トップの2・05。だが川口コーチは「中堅はもっと発奮してほしい。弱いピッチャーはいらない」と貪欲だ。若手と実力者を融合させ、分厚い投手陣を完成させる。【宮下敬至】