<日本ハム2-0西武>◇30日◇札幌ドーム

 日本ハムがヤングパワーで首位追撃だ。相次ぐ主力の戦線離脱で迎えた西武戦で、U-25(25歳以下)の先発6人が躍動。3回に「9番遊撃」の中島卓也内野手(21)が中前打を放って先制のホームを踏めば、「3番二塁」に抜てきされた西川遥輝内野手(20)も左前適時打で貴重な2点目をたたき出した。糸井、田中ら故障者が続くチームは連敗を4で止め、首位西武に再び1ゲーム差とした。

 若さあふれる勢いが、暗雲立ちこめたチームに光をもたらした。3回だ。田中の代役・2年目の西川が気持ちで食らいついた。1点を先制して、なお2死三塁の好機。「もう1点欲しい場面。必死でした」と、詰まりながらも左前へ運んだ。

 プロ入り初の3番抜てき。「チャンスで回るのは分かっていた」と、気負うことなく打席に入っていた。普段からベンチではベテラン稲葉の近くに座り、「稲葉さんなら、どう待ちます?」など質問する。先輩に臆せず、貪欲に教わる肝っ玉が、大事な場面での結果につながった。

 チャンスメークは4年目の中島だった。今季4安打目となる中前打で出塁。すかさず二盗も成功させた。「自分のアピールポイントは足。ミーティングでも足でかき回そうと話していた」。続く陽岱鋼の強い当たりの左前打で、迷うことなく一気に生還。「(三塁コーチの)清水コーチが(手を)回していたので、思い切りいこうと思った」と、快足を飛ばしてチームに勢いを与えた。

 西川、中島に加えて2番でスタメン出場した杉谷は、札幌ドームでの試合前は連日、特打や特守に励むレギュラーメンバーだ。大黒柱である田中の負傷離脱でスタメンが決まった3人は試合前、福良ヘッドコーチから気合を入れられた。「お前ら3人が、この1カ月死に物狂いでいったら、チームにとってもプラスになるから、しっかりやれや」。期待の高卒トリオは、1人2安打ずつで6安打を目標に掲げていた。結果は1安打ずつも、それぞれが勝利に貢献する活躍だった。

 全試合出場を続ける中田も1安打を放ち、大野は無失点リレーを演出する好リードに俊足ヘルマンの二盗を阻止する強肩を披露。ベンチで一番の若手、西川は力強く言った。「若い力で奮起させていかないと、(チームが)どんどん落ちてしまうと思っていた」。頼もしい若手の活躍に栗山監督も「ああいう、がむしゃらさがチームに必要だと思った。それを体現してくれた」と喜んだ。ピンチはチャンスと、主力の座を狙う若手の野心が、苦境のチームを1歩前進させた。【木下大輔】

 ◆中島卓也(なかしま・たくや)1991年(平3)1月11日生まれ、福岡県出身。福岡工から08年ドラフト5位で入団。176センチ、69キロ。右投げ左打ち。

 ◆西川遥輝(にしかわ・はるき)1992年(平4)4月16日生まれ、和歌山県出身。智弁和歌山で春夏4度甲子園出場。10年ドラフト2位で入団。179センチ、73キロ。右投げ左打ち。

 ◆杉谷拳士(すぎや・けんし)1991年(平3)2月4日生まれ、東京都出身。帝京で春夏3度甲子園出場。08年ドラフト6位で入団。右投げ両打ちの内野手。173センチ、74キロ。