阪神が、チーフ格の打撃コーチとして、元近鉄監督の佐々木恭介氏(62=女子プロ野球・京都監督)の外部招聘(しょうへい)を検討していることが4日、明らかになった。今日5日に大阪市内の電鉄本社で開かれる臨時役員会で中村勝広氏(63)が取締役として承認され、GMに就任する。佐々木氏は中村氏の阪神監督時代にコーチを務めており、西武、中日などで若手を育成した実績も買われた。中村GM誕生で、いよいよスタッフ大改造が断行される。

 阪神が打撃部門のテコ入れに動くことが、明らかになった。2年連続で統一球とストライクゾーンの対応に苦しみ、チーム本塁打はリーグ最下位で、同打率も2割4分を切っている。和田阪神低迷の大きな原因といえる。猛虎打線の復活はチーム再建に欠かせない。そこでチーフ格の打撃コーチとして、元近鉄監督・佐々木氏の招聘を検討していることが判明した。

 すでにリーグ優勝の可能性が消滅。来季で2年目を迎える和田阪神のコーチ陣は、大幅な改造は避けられない状況だ。今日5日には、大阪市内の電鉄本社で取締役会が開かれる予定。その場で、監督経験のある中村勝広氏(63)が球団初のGMに就任することが正式に決定する。ここから南球団社長や和田監督らと会談を重ね、来季のチーム再編成が急加速していく見通しだ。

 佐々木氏の入閣案は、中村GMの人脈で浮上した。自身が指揮を執った91年に打撃コーチ就任を要請し、2年間同じベンチで戦った経緯がある。「亀山、新庄」のブレークに貢献。92年にはチームは優勝争いに加わり、最終的には2位でシーズンを終えた。

 監督経験のある佐々木氏は、打撃の指導力にも定評がある。近鉄で中村紀を主軸に育てた実績がある。西武や中日でも若手の強打者育成にひと役買った。中日時代には福留孝介の信頼も厚く、メジャーリーグに挑戦した後にも打撃のアドバイスを送ったほどだ。佐々木氏は大砲育成の手腕に優れており、世代交代が進まない阪神にとっては、課題克服に最適の人物だ。同氏は中日を退団した03年からNPBを離れているが、昨年に女子プロ野球・京都の監督に就任した。

 佐々木氏のほかにも、ヘッドコーチや2軍監督を歴任したOBの平田勝男氏(53)や2度のリーグ制覇に正捕手として貢献した矢野燿大氏(43)の入閣を検討している。打撃部門では、「ミスタータイガース」の掛布雅之氏(57)を秋季キャンプの臨時コーチとして、招聘するプランもある。議論を活発に重ね、猛虎再建の「組閣」を進めていくことになる。

 ◆佐々木恭介(ささき・きょうすけ)1949年(昭24)12月28日、兵庫県生まれ。柏原-新日鉄広畑。71年ドラフト1位で近鉄入団。三塁から外野に。78年に打率3割5分4厘で首位打者。82年に引退。通算1036試合、打率2割8分3厘、105本塁打、412打点。84年から近鉄コーチ。91年から阪神で1軍打撃コーチを2年務めた。96年から4年間、近鉄監督。01年西武ヘッド兼打撃コーチ、02年中日コーチ。03年終盤は監督代行も務めた。11年に女子プロ野球・京都の監督に就任。右投げ右打ち。