<日本ハム5-0西武>◇28日◇札幌ドーム

 西武が逆転優勝へ、崖っぷちに立たされた。エースに完封され、主砲には2発で全得点の5打点。1度も試合の流れをつかめず、終始日本ハムペースの完敗だった。渡辺久信監督(47)は「完璧に負けた感じなんで、切り替えもできると思う。数字的に可能性がある限り、全力を尽くさないといけない。明日やり返すつもりでやる」と淡々と話す姿が、厳しい現実を物語った。

 乗せてはいけなかった主砲の2発が、全てだった。1回2死一塁、野上が中田に投じた3球目。捕手炭谷の要求は外角だったが、やや高く、シュート回転した。快音とともに、一直線で左中間席へ運ばれた。勢いは止まらず、5回2死一、三塁の好機に再び中田。1ストライクから、ボール要求の真っすぐだったが、十亀の投げたボールは真ん中に入った。試合を決定付ける3点だった。

 5点のビハインドをはね返す力はなかった。吉川を相手に、今季ワーストタイの2安打。得点圏に進んだのはわずか1度だけで、三塁さえ踏めなかった。150キロを超える直球に、キレのあるスライダーとカーブ。渡辺監督も「何とかチャンスをつくろうと思ったが、今日は全然そんな感じじゃなかった」と振り返るしかなかった。

 直接対決に敗れ、日本ハムにマジック4が点灯。渡辺監督が「予想どおり」と話した混戦を極めた覇権争いから、瀬戸際に追い込まれた。炭谷は「(シーズンが)終わったわけじゃないんで。明日何とかやり返します」と必死に前を向いたが、残りは8戦。数字上は厳しくても、逆転優勝へ、残された力を振り絞る。【久保賢吾】