ソフトバンクの13年型打線は新助っ人がカギを握る。ブライアン・ラヘア内野手(30=カブス)。昨年メジャー130試合で打率2割5分9厘、16本塁打、40打点を記録し、球宴にも初出場した売り出し株。V奪回を厳命する孫オーナーが青天井の予算を約束し、2年契約の450万ドル(当時約3億6000万円)プラス出来高払いで“旬”な左のスラッガーを獲得した。

 コンパクトな振りで変化球への対応力が高く、広角に打ち分ける。内角球をビュンと鋭い軸回転で、スタンドに運ぶ力もある。11年の3Aでは38本塁打と109打点で2冠王に輝いた。入団会見では自信たっぷりに言った。「高すぎると思うかもしれないが、3割30本100打点をゴールとして掲げている」。球団で過去5人しかいない記録への挑戦をぶち上げた。

 「打順はどこでも。打点を稼ぐのが仕事だ」と語る。オープン戦ではペーニャの後ろの5番を、前評判通りの安定感を発揮した。「攻撃と同じくらいにプライドを持っている」という守備は一塁と左翼、右翼をそつなくこなし、オーダー変更にも対応してきた。

 昨年チーム総得点はリーグ5位の452。タイムリー欠乏症で得点機をみすみす逃したこともV逸につながった。昨年21発のペーニャとの相乗効果で、この課題は解消されそうだ。「チームを引っ張ってくれる選手になると思う」と秋山監督。人なつっこいペーニャに比べると、ラヘアは物静か。俺の打撃を見ておけと言わんばかり。職人気質の助っ人の打撃から目が離せない。【押谷謙爾】