<中日11-4巨人>◇29日◇ナゴヤドーム

 Gキラーを襲名します。中日の優良助っ人エクトル・ルナ内野手(33)が本拠地巨人戦も大暴れ。単打、三塁打、二塁打の3安打4打点と打ちまくった。開幕から巨人戦4試合すべてで安打と打点をマークする。月間40安打も中日外国人の新記録で、打率はついに4割。打ち出の小づちが引っ張り、15安打11点と圧倒して巨人戦初勝利。4日ぶりに最下位を脱出した。

 強敵を相手にすれば燃える。ルナがまたG戦で打った。1点ビハインドの2回1死一、三塁から中前に同点打を放つと、右に左にもうやりたい放題。面白いようにヒットゾーンにボールが弾んだ。今季最多3万7418人の本拠地ファンも大盛り上がりだ。

 まだ4試合ながら巨人戦はめっぽう強く17打数8安打、打率4割7分1厘。何でこんなに相性が良いの?

 「どこのチームとやっても変わらないよ。ただ一番勝っている首位のチームだからね。とにかく全力だよ」。ハッスルプレー。それがルナの原動力だ。

 スター街道を歩んできたわけではない。メジャー昇格は04年、24歳のとき。その年の6月20日、セントルイスのブッシュ・メモリアル・スタジアム。三塁を守っていたルナはレッズ戦でケン・グリフィー・ジュニアの通算500号アーチを目撃した。

 「すべてが超一流。本当にすごい選手だよ。オレもあんな選手になりたいと思ってこれまでやってきたんだ」。走攻守に長打力、強肩を備えた5ツール選手。ヤンキースなどメジャー球団に属することなくスター選手となった同氏に憧れた。敵地でも輝いていたグリフィー氏の光景が、今でも目に焼き付く。強敵にも臆さない巨人キラーの原点になっている。

 4割。開幕から28試合を終えてこの打率をキープしている。05年4月にアレックスが量産した37安打を抜き、4月だけで40安打。中日外国人選手のレコードを更新した。「自分のことで精いっぱい。全力でチームが勝てるように頑張るだけだよ」。雑草魂を宿したルナが最強助っ人への道を進む。【桝井聡】