<ロッテ3-2ソフトバンク>◇29日◇QVCマリン

 ロッテのサヨナラ勝利を決めたのは、サブロー外野手(37)だった。9回1死一、三塁。8回に代走で出た3番伊志嶺の代打で登場した。マウンドは千賀。初球の真ん中155キロを、右前にはじき返した。サヨナラ安打は01年8月31日・西武戦で豊田から打って以来、実に12年ぶり。「初球からいくつもり。狙いは直球1本。(11年に所属した)巨人の時からオンとオフの切り替えができるようになった。巨人で代打が多かったから、その経験が生きている」。37歳ベテランの経験と技の詰まった劇的安打だった。

 一塁を踏むと、ナインに囲まれた。駆け寄った今江からは「ありがとうございます!」と叫ばれた。今江は直前の9回表、無死一塁で三塁ゴロをジャックルし、二塁へ悪送球。併殺のはずが無死一、三塁とし、結果的に同点にされた。今江は「西野にも益田にも申し訳なかった。サブローさんが打ってくれて、感謝です」と話す。今江に対し、サブローは「オレが打てなくても、お前が打ってたよ」と語りかけた。仮にサブローが凡退していれば、次打者は4番・今江だった。ミスした後輩の心を癒やすのに十分な言葉だった。

 伊東監督は「若い人中心でモチベーションを保つのも難しい中、準備してますから。チームを救ってくれた」と最敬礼。出番は少ないが、サブローは「いつまでも僕らが出ていても強くはならない」と方針を理解。さらに「できることをきっちりやろうと思っている」と言う。縁の下で支える力が、今季5度目のサヨナラ勝ち、16度目の1点差勝ちをもたらした。【金子航】