<ヤクルト2-1巨人>◇29日◇静岡

 もったいない完投負けだった。巨人沢村拓一投手(25)は130球、1人で投げ抜いた。8回2失点。好投と言っていいのかも知れないが、敗因も沢村のプレーにあった。1回無死一塁では、バント処理からの悪送球でピンチを広げた。さらに7回、決勝点を奪われた場面も、先頭に四球を出し、暴投でピンチを広げた。独り相撲のように映った。

 この日は打席の方でも痛い失敗があった。5回無死一、二塁のチャンス。3球続けて送りバントをファウルにした。小川を相手に最大のチャンスだっただけに、きちんと送れていれば試合の流れも変わるところだった。沢村も「反省しないといけない。前の試合でも失敗してるし、もっと練習します」と猛省した。攻守にわたって、この日のキーマンは沢村だった。

 原監督も沢村のピッチングには合格点を出しながらも、バント処理やバント失敗には「その辺のところは言われても仕方がない」とした。さらに、同点に追いついた後の投球に関して「勝負どころでいかに沢村拓一を出せるか。勝負という点では、それが大事になってくる」と要望を出した。

 沢村にとって草薙球場は、プロ初黒星を喫したところ。遠い昔には沢村栄治も好投報われず、ベーブ・ルースらがいた大リーグ選抜に0-1で敗れた。「沢村」にとっては鬼門なのか。「チームが1点しか取れなければ、1点に抑えないといけない。勝てば野手のおかげだし、負けた試合は投手の責任です」と、責任を背負い込んだ現代の沢村。2位阪神とのゲーム差も1・5に縮まった。【竹内智信】