<日本ハム3-4西武>◇17日◇函館
出番は1点を勝ち越した直後の6回だった。独特なオーラを身にまとって、西武増田達至投手(25)がマウンドに上がった。先頭はドラフト1位対決の大谷。最大の武器「高速スライダー」で、空を切らせた。「初球は納得のいかないボールでしたけど、しっかり修正できた。初球の球種ですか?
覚えてません。最後はスライダーですけど」。げらげらと笑って、振り返った。
マウンド上では、堂々たる投球だった。6回は大谷、大野、7回は陽、アブレイユを三振。「シャーッ」とグラブをたたき、10試合連続無失点を刻んだ。福井工大時代は全国の大学が集まる神宮大会に出場できず、勝敗を分ける1球の重みを痛感。NTT西日本では守護神を任され、一発勝負の怖さを知った。チーム内で強心臓といわれる牧田も認める“気持ちの強さ”のルーツは、こうした経験も大きいのだろう。
大学時代、エースだった増田は基本的にリーグ戦の1戦目に先発。2戦目は休養が多かったというが、ある時事件が起こった。急きょ出番が訪れたが、投手用のグラブがなかった。普通なら他の投手に借りるだろうが、練習で使ってきた内野手用で登板。「それしか持ってなかったですから」とグラブの網の間から握りが見えても、どこ吹く風で抑え込んだ。
プロ初登板だった6月13日の中日戦は、自責点0ながら初黒星を喫した。周囲は落ち込む姿を想像したが、まったく逆だったという。天然仕込みのドラ1右腕の思考は、想像をはるかに超える。【久保賢吾】




