<阪神9-6巨人>◇17日◇甲子園

 阪神榎田大樹投手(26)がG狩りに、またもや成功だ。巨人戦4連敗で迎えた一戦に先発。6回を投げて5安打1失点の快投で4勝目。後半戦での巨人追い上げへ、このサウスポーがカギを握りそうだ。

 Gキラーが本領を発揮した。前夜に大敗し、虎を包んだ嫌なムードを左腕が消し去った。4回。2死満塁で迎えたのは、前日代打で同点打を放った矢野だ。まだ4回とはいえ、勝負どころと踏んだ巨人原監督は勝負に出てきた。リードは5点あったが、やられたら流れは巨人のものになる-。誰もが思ったはずだ。キラーのなせる業か。榎田の思い切りは、ここぞの場面でも変わらなかった。カウント1-1からの3球目。榎田は力いっぱい腕を振りチェンジアップを投げ込んだ。結果は二ゴロ。じわじわと迫ってきていた重い雰囲気は一瞬にして虎を後押しする空気に変わった。

 「ジャイアンツに2つ負けたので、今日は絶対に勝ちたいと思ってマウンドに上がりました」

 キラーとして、巨人戦のマウンドを託された。6日広島戦以来、中10日の変則ローテ。過去2勝巨人戦で挙げており、絶大な信頼を寄せられていた。自身もその役割をしっかりと自覚していた。「自分の中では、東京ドームでもそういう流れがあったんで、正直、自分の流れだなと思っていました」。4月16日からの東京ドームで行われた3連戦。今回とまったく同じく、能見、スタンリッジで連敗していた。託された3戦目。8回途中1失点で連敗を止めていた。その経験があった。謙虚な榎田が静かな自信をのぞかせた。和田監督も「自分の仕事を理解している。4月も3つ目で連敗を止めてくれたんでね。大型打線の打ち取り方を知っているよ」と、手放しで褒めた。挙げた4勝のうち3勝が巨人戦。すっかり巨人キラーの代表格となった。前半は2・5ゲーム差で折り返し。後半戦も榎田がG斬りの主役となる。