<西武4-13ソフトバンク>◇15日◇西武ドーム

 ソフトバンク江尻慎太郎投手(36)がうれしい移籍後初勝利を手にした。同点の5回1死二、三塁。失点の許されないシビアな場面で栗山と浅村を連続の空振り三振に切った。浅村には「最後はカットが抜けて内角に行ってしまった」と細川に謝罪しながら、一塁ベンチへいつもの笑顔の全力疾走。直後、打線が大量8点も勝ち越してくれ、白星がついた。「前半戦はチームに貢献できなかったのでうれしいですね」。

 8月10日に3カ月ぶりに1軍昇格し、3連投。飢えていた投手最年長の36歳は4試合連続登板にも「元気が取り柄。ピンチにぶっ込まれてナンボ。アウトを取って帰るのが楽しくてしょうがない」と笑う。投げる喜びにあふれている。

 5月にファームに降格した際、秋山監督から宿題をもらった。「スピードガンは出るのに打たれるのはなぜか考えろ」。江尻は育成入団の1年目左腕をヒントにした。「飯田優也(22=東農大北海道)の投法です。彼は球が速く見えるので、下半身の使い方を教えてもらいました。腰を壁にぶつけるようにバチンとターンする感じ」。14歳下の“先生”に教えを請い、フォームを修正。リハビリ組、3軍で8試合、2軍で25試合と全カテゴリーで調整した時間を無駄にしなかった。

 「今日は嘉弥真の勝利、みんなの勝利です。3連投の疲れも吹っ飛びます」。厳しい夏場の連戦で光った中継ぎリレー。代表して受け取った白星は、江尻にとってDeNAの11年以来2年ぶり、パでは日本ハムの09年以来4年ぶり勝利だった。【押谷謙爾】