<巨人4-0阪神>◇27日◇東京ドーム

 巨人が、エースの活躍で2位阪神を一蹴した。先発の内海哲也投手(31)が7回1/3を無失点に抑え11勝目。ハーラートップのヤクルト小川に1勝差と迫り、3年連続の最多勝を視界に捉えた。3今日28日の阪神戦で勝てばマジック24、引き分けならばマジック25が再々点灯する。

 威風堂々。やっぱりエース内海だった。2位阪神との本拠地3連戦の初戦。先陣を任されたマウンドで責任をまっとうした。「大事な阪神との初戦で、重要な一戦だったので気合を入れて投げました。前半戦はチームに迷惑をかけていたので恩返しには絶好のチャンスだった」。巨人のエースとして東京ドームで宿敵に快勝した。

 大一番の重要性を理解するがゆえに慎重になった。1回、先頭の西岡を四球で歩かせると、2番今成を併殺。だが、続く3番鳥谷、4番マートンに連続四球を与えた。「慎重さしかなかった。どうしても先に点を与えたくなかった」。勝負を焦らず、じっくりと攻めた。2死一、二塁のピンチで、最後は新井貴を空振り三振に仕留め、思惑通りスコアボードに「0」を記した。

 この一戦を強く意識していた。7月30日のヤクルト戦から登板日は、すべて毎週火曜日。「1カ月ぐらい前から想像して、今日に向けて上げていかないといけないと思っていた」と、個人トレーナーの保田氏のスケジュール帳に目をやり、逆算した。6連戦の初戦の先発を守りつつも、早くから頭の中でイメージして決戦のマウンドに臨んだ。

 先発投手陣の中で、柱としての自負も内海を奮い立たせる。不本意に終わった前半戦。オールスター期間中に「僕が安定した投球をして勝つことによって若い投手にも勢い出てくる。僕が若いころはそうだった。特に菅野には迷惑かけた。後半戦は、のびのびと負けてもいいよという状態で投げさせてあげたい」と誓った。後半戦は、早くも5勝目をマーク。有言実行でチームをけん引している。

 11個目のウイニングボールを手にし、3年連続の最多勝も視界に捉えた。「最多勝は意識しすぎると空回りする。1試合、1試合の積み重ねが大事」と、個人タイトルは現時点では封印。それよりも「自分の次は(宮国)椋丞が投げる。いい形で、楽な形でバトンを渡すことができた」と、今日先発する後輩を思いやった。エースらしく、チーム第一主義でゴールまで走りきる。【為田聡史】

 ▼内海が7回1/3を無失点に抑え11勝目。これで後半戦の内海は○○○●○○の5勝1敗。セ・リーグで後半戦5勝は内海だけで、前半戦終了時にあったトップ小川との4勝差(小川10勝、内海6勝)は1勝差に縮まった。内海は11、12年と最多勝を獲得。過去に3シーズン以上続けて最多勝は、1リーグ時代の37年秋、38年春秋、39、40年と5シーズン連続のスタルヒン(巨人)を筆頭に、パ・リーグの90~93年野茂(近鉄)99~01年松坂(西武)の3人だけ。昨年も後半戦に逆転した内海が、セ・リーグ初の3年連続最多勝を狙う。