<中日4-3阪神>◇28日◇ナゴヤドーム

 あと2週間で虎は目覚めるのか。中日戦で適時打なしの3得点に終わった阪神がサヨナラ負けを喫した。これで23年ぶりの10カード連続勝ち越しなしが決定。最大17あった貯金は、5まで減ってしまった。広島がヤクルトに引き分けたため、今日29日にも2位確定するが、少しばかり貧打のトンネルが長すぎじゃありませんか?

 阪神の下り坂に終点が見えない。最後は久保田智之投手(32)の投げ込んだ直球が内角低めに外れた。押し出し四球で9回サヨナラ負け。右腕は「しっかり抑えないといけなかったです」と声を落とした。3連敗した8月末の巨人戦から、10カード連続の勝ち越しなしが決定。11カード連続で負け越した90年以来、実に23年ぶりの黒星量産となった。

 スッキリするタイムリーが、またも出なかった。荒れる中日先発のカブレラから、ポンポンと四球をいただいた。3回は2つの暴投も絡んで1点先制。だが、快音は聞かれなかった。3四球で塁を埋めた6回は、代打日高の鋭い当たりが右飛に。8回も、奪った2点はともに押し出し四球。残塁11のモヤモヤ感が、無情な幕切れにつながった。

 水谷チーフ打撃コーチ

 上がってこなアカンやろ。新井と福留がな。そんな(新井貴の足の状態)こと言っておられん。

 打撃の責任者が心配するのは、5、6番のベテランコンビだ。8回こそ連続安打で同点劇につなげたが、そこまで3打席は無安打。いずれも4番鳥谷が3打席連続四球を選んだが、ホームにはかえせなかった。

 右足の張りを抱えながらフルスイングする新井貴浩内野手(36)は、1回から2打席連続で外角直球を見逃して三振。第3打席はワンバウンドした外角変化球に手を出し、バットは空を切った。月間打率2割2分4厘の9月は、67打数で20三振。体調が万全でないまま、選球眼とスイングも失いつつある。

 福留孝介外野手(36)も深刻だ。左ふくらはぎ痛から復帰したものの、9月は45打数8安打の1割7分8厘。前節DeNA3連戦は左方向への凡フライを連発するなど、復調の兆しが見えない。ともに、本来は実績十分のクラッチヒッター。9月0本塁打に終わる2人の状態が上がってこないと、2週間後に迫った短期決戦のポストシーズンを勝ち上がることはできない。

 黒田ヘッドコーチは「最後に1本出たからな」と前向きにとらえた。ここまで頑張ってきた救援陣に、疲れが見え始めた終盤戦。日本一への道は、こんなにトンネルがあるはずがない。広島がドローだったため、今日29日に2位確定のチャンスは残った。今こそ「猛虎打線」と呼ばれるにふさわしい姿で、立ち直る時だ。【近間康隆】

 ▼阪神のサヨナラ負けは、9月17日広島戦(マツダスタジアム)以来今季6度目。サヨナラ試合で阪神は、8月20日DeNA戦(横浜)以来5連敗。なお、押し出し四球による阪神のサヨナラ負けは、09年6月10日西武戦(西武ドーム)9回、ウィリアムスが大崎に与えて以来4年ぶり。

 ▼阪神が中日2連戦初戦を落とし、8月27~29日巨人戦(東京ドーム)から連続10カード勝ち越しなしが決まった。同一シーズンでは、90年7月28~30日巨人戦(甲子園)から8月31~9月2日広島戦(広島)に11カード連続で負け越して以来、23年ぶり。