楽天星野仙一監督(66)がエース田中将大投手(25)に休養指令を出した。日本シリーズ第6戦で160球、第7戦はリリーフで15球投げたエースの疲労を考慮し、オーバーホールを優先させる。4日、8日から始まる倉敷秋季キャンプメンバーから外れ、アジアシリーズ(15~20日・台湾)にも出場させないことを明言した。今オフ、ポスティングシステム(入札制度)での移籍が濃厚な右腕が、十分に休養して夢に挑戦する。

 初の日本一から一夜明け、星野監督が1年間フル回転だったエースに休養指令を出した。仙台市内で昼食をとりながら「(アジアシリーズに)田中、則本、美馬は行かせない」との意向を明らかにした。「これで投げさせたら、アホと言われるわ」と笑い飛ばした。レギュラーシーズン24戦無敗に加え、日本シリーズでも160球完投した田中に、今は十分な休養が必要と判断した。

 指揮官もビックリの登板過多だった。3日の最終戦は、9回に田中を3番手で起用した。リリーフ待機させるつもりはなかったが、「ほんまに大丈夫か?」と目を丸くしながら聞くと、「大丈夫です」と、本人の希望でベンチ入りさせた。幸い、球数は15球と少なかったが、それ以上に、連投が不安だった。

 星野監督は今季、田中のコンディション維持を優先させた。基本的に中6日でローテーションを回し、万全な状態に回復させてから起用してきた。それだけに同じ投手出身として、肩、肘への過度な負担が気がかりだった。

 今後はアジアシリーズのメンバーには入れず、オーバーホールで疲労を回復させる予定だ。「1年間働いた選手は、しばらくの間、心身をじっと休めなきゃいけない」というのが同監督の考え。肩や肘のメンテナンスをしっかり行い、来季へのコンディションを整えさせるつもりだ。

 田中はこの日は、休養日でKスタ宮城には姿を現さなかった。球団は、田中が来季の米大リーグ移籍を希望した場合、ポスティングでの移籍を容認する方針を示している。今日5日にも立花球団社長と話し合う可能性がある。夢を実現させるためにも、まずしっかり休ませる。【斎藤庸裕】