巨人が、中日を自由契約となっていた井端弘和内野手(38)を獲得する。球団として最終判断材料だったメディカルチェックをクリアしたことが22日、分かった。今月中に細部をつめる交渉を行い、12月上旬には入団発表となる見込み。推定年俸は4500万円プラス出来高。宿敵だった落合中日の中心選手を加え、リーグ連覇への足場を固める。

 巨人が水面下で進めていた井端の獲得が決定的となった。不安材料だったのは10月に受けた右足関節の骨棘(こっきょく)除去手術と、右肘関節の形成術の影響だ。再手術の必要性なども情報としてあったが、メディカルチェックをクリア。獲得に向けての障害がなくなった。

 金銭面では、中日よりもわずかに好条件となる。当初1億9000万円とされていた井端の年俸は2億5000万円だったと判明。それに対し、中日からは3000万円を提示された。井端はそれを受け入れず、退団の運びとなった。しかし、今回の巨人の条件は4500万円とみられ、高額ではないが出来高もつけられている。井端も前向きな姿勢を示している。

 巨人が井端を獲得するメリットは、プレー以外の部分にもある。高橋由と並びチーム最年長となるため、右打ちの技術や高い守備能力など、若手の手本となることを期待するのはもちろん。落合中日という、苦汁をなめさせられた相手の内部を知る存在であることも大きい。巨人にとって未知のものをもたらしてくれれば、チーム力が飛躍する可能性も考えられる。

 二塁手としては、巨人は西武からFA宣言した片岡の獲得に向けて動いている。球団幹部が「(2人の)役割は別だと考えている」と話すなど、井端の獲得によって片岡獲得を取りやめる考えはない。井端に、二塁手の強化という以外の部分での期待が大きいことが、そのことからもうかがえる。

 井端には、第2子が誕生予定で、明子夫人は東京で出産する準備を進めていた。長男も東京の私立小学校に入学させようとしていたところで、巨人移籍は家族にとっても朗報。今春のWBC台湾戦で、9回2死から同点打を放ったのは記憶に新しい。その勝負強さを今度は巨人で発揮してもらう。

 ◆井端退団の経緯

 今季は3月のWBCで指名打者のベストナインに選ばれたが、シーズンでは低迷。7月と9月に右足首痛で出場選手登録を抹消されるなど出場100試合で打率2割3分6厘、1本塁打、18打点にとどまり、10月には右足首と右肘の手術を受けた。10月下旬に球団との来季交渉で今季推定年俸2億5000万円から88%減の3000万円を提示され、拒否。今月4日に球団が契約を結ばないと発表した。