<阪神6-5DeNA>◇10日◇甲子園

 必勝リレーが一体となってサヨナラを呼び込んだ。9回を無失点でまとめた阪神呉昇桓投手(31)に来日初白星がついた。2セーブ目を挙げながら2失点した前日9日の登板から微修正。2死から1安打こそ許したが、わずか11球でDeNAの下位打線を封じた。

 「自分だけの力ではない。前の投手の方たちがしっかり抑えてくれたから抑えられたと思う」

 加藤、福原がつくった流れに乗った。先頭バルディリスを2球で簡単に追い込み、外角スライダーで3球三振に打ち取った。前夜に打たれた荒波も二飛に仕留めた。代打井手に右前打を許したが、最後は代打金城を中飛に抑えた。

 「今日も失点が続いてしまったら、悪い雰囲気になる。何かを変えた、というより、抑えようと気持ちを強くもった」

 韓国球界277セーブのプライドを捨て、柔軟に吸収している。バトンを受けとった福原からは、縫い目に指をかけないフォークを教わった。2日の試合前だ。センター付近にボールを持って近づいた。「いろいろと試そうと思って」。直球だけでは生きていけない。その研究熱心な姿勢に福原も「こうやって握ってるよ」と親切に教えた。この日、ボールになったが金城への初球でフォークを投じた。

 1度は失った流れを、加藤、福原、呉昇桓で取り返した。和田監督も「5点とられてから後を抑えてくれて、つながった」と評価した。お互いを尊敬し高め合う必勝リレーが、何とも頼もしい。【池本泰尚】