<巨人3-1広島>◇2日◇東京ドーム

 悩めるルーキーに光が差した!

 広島ドラフト1位大瀬良大地投手(23)が敵地巨人戦に先発し、6回5安打3失点で5敗目(6勝)を喫した。5回までは2安打無四球で無失点と封じ込めていた。1点リードの6回、1番坂本に同点ソロ、4番阿部に勝ち越し2ランを浴びた。それでも制球とキレは以前と比べて格段にアップ。復調の兆しが確かに見えた。

 大瀬良は祈るような表情で白球の行方を追った。阿部の飛球が左中間席に消えると、両手を腰にあててぼうぜんと立ち尽くした。

 「坂本さんへのボールは完全に失投です。阿部さんへのボールは悪くはなかった。でも、悔しいです…」

 1点リードの6回、先頭の1番坂本に逆球の内角スライダーを左翼席に運ばれた。なおも1死二塁、今度は4番阿部に外角いっぱい145キロ直球を投じ、勝ち越しの左中間2ランを献上した。6回で7三振を奪いながら、5安打3失点で5敗目。手ごたえと悔しさが入り交じった。

 「今日は良かった。打者の反応を見ても押せていたし、制球も悪くなかった」

 5回までは2安打無四球で無失点。スローカーブを交えて緩急を効かせ、最速150キロの直球を次々とコースに決めた。6回は王者・巨人打線の底力を見せつけられた形だ。それでも力強く試合を作った投球内容には価値がある。

 前回7月26日阪神戦は脱水症状から全身がつり、3回3失点で降板した。ナイタ-終了後、深夜営業する書店に向かい、栄養管理の本を3冊買った。

 学生時代から体がつりやすく、必ず試合中に3リットルの水分を摂取する。エース前田から教わり、前回の登板前から「栄養をすぐ吸収するために」ノンアルコールの甘酒を飲むようになった。

 「それでも足りなかったということ」。この1週間はミネラルが豊富な麦茶や牛乳、バナナ、トマトを意識的に口にした。「疲れは感じなかった」という今回のマウンドは、巻き返しへのきっかけとなりそうだ。

 6月21日日本ハム戦以来の白星は逃した。首位巨人戦は4試合登板で1勝2敗、防御率4・33、8被弾。今季17被弾は両リーグワーストとなった。それでも光は見えた。

 「今日は自分が目指す、力感のないフォームで投げられた。リリースの時だけ力を入れられた」。逆襲の時間はまだ十分残っている。【佐井陽介】