<楽天5-12ロッテ>◇16日◇コボスタ宮城

 ロッテ打線が屈辱を糧に打ちまくった。16安打で12点。則本に1安打投球を許したショックを1日で振り払った。前夜、唯一の安打を放った加藤翔平外野手(23)は4安打と大暴れ。「則本の方がストレートも10キロ速いですし、フォークも切れていた。そう思うと硬くならずに打席に入れました」。則本の残像が、加藤にとっては宮川攻略の一助となっていた。

 長打力のある井口、サブロー、今江が休養のためスタメンから外れた打線。ミーティングでは立花打撃コーチから「とにかく強い打球を打っていこう」と話があった。それを各打者が解釈して投手の足元を狙った。適時打を放った高浜と岡田は「ピッチャーの足元へ、狙い通りに打てた」と声をそろえた。つなぎの打線の本分をこなすことが、立ち直りの契機になった。

 則本ほど難攻不落の相手ではなかったといえ、同じフォークを武器にする投手を鮮やかに攻略した。キャプテンの鈴木は「あれだけやられたら逆に吹っ切れました。みんな、うまく切り替えて試合に臨めてました」とショックからの脱出を語った。

 この3連戦の前には選手だけでミーティングを開き結束を固めたが、宿舎でも鈴木の部屋を岡田が訪ね、チームがどうしたらうまくいくか話し合うなど、巻き返しに向けての意欲は衰えない。則本に許した準完全試合も、それぞれがプラスの材料に変えて消化。前へ進んだ。則本ショックをバネにする打線のしたたかさは、巻き返しへの原動力になるはずだ。【竹内智信】