<広島5-4巨人>◇17日◇マツダスタジアム

 球界で最も堅い壁「巨人の8回」が壊された。2点リードの8回、山口鉄也投手(30)が広島打線に5安打を集められ3失点。逆転で今カードを負け越した。責任感の強いセットアッパーはベンチでうつむき動けず。「調子は普段と変わりなかった。すいません」と絞り出した。

 1死一塁をけん制で消し、2死無走者からの悪夢だった。代打小窪に同点打され、堂林だった。食い付きのいい右打者に対し、外角低めを徹底した。カウント2-2からの6球目。ストライクからボールに沈む、A級のチェンジアップだった。かかった…、はずが、簡単にファウルされた。ファウルを挟み、149キロのアウトローも申し分なかった。しかしこの8球目も踏み込まれ、打ち返された。

 山口のマツダスタジアム防御率は27・00になった。中3日だった。ボールの力感から見て、本人の言葉通り、デキの問題ではない。全25球中、スライダーは1球だけ。5安打すべてがシュートを含む直球系だった。マウンドか。挙動で球種が分かるなど、研究で裸にされているのか。過去の対戦から、スライダーは危険と踏んだか。調子以外の理由による連打の可能性はある。

 原監督は「ウチのパターンの中で、こういう結果になった」と言った。ローテの谷間で、先発に3年目江柄子を起用。4回からリレーに入り、最も頼りになる男につなぐ。シナリオ通りに運び、幕を引くだけだった。運で連打できるほど甘い投手ではない。なぜ、広島が山口をかもにするのか。「巨人の8回」は代わりがきかない職場だけに、究明が必須だ。【宮下敬至】