阪神が来季のコーチとして、今季限りで広島2軍監督を退任する内田順三氏(67)の入閣を検討していることが23日、分かった。和田豊監督(52)の続投が厳しい状況に陥っているなかでヘッドコーチ格と打撃部門をてこ入れする方向だ。情熱的な指導に定評がある同氏を若虎育成の指南役としてリストアップしている。

 球団幹部が「候補の1人です」と認めた。大打者を何人も育て上げた名伯楽が、打撃強化の切り札になるかもしれない。経験豊富な指導手腕は球界でも定評があり、広島、巨人で主に打撃コーチとして活躍した。巨人では長嶋監督が指揮していた94年から打撃コーチを務め、のちに大打者に育った松井秀喜(元ヤンキース)の若き日に指導を施した。清原ら主力の相談役としても選手の信頼が厚かった。阿部のルーキー時にも接するなど、スラッガー育成で力量を発揮。広島でも金本や緒方らを鍛え上げ、打撃強化の実績は群を抜く。

 阪神は近年、生え抜きの若手育成が急務だ。ウエスタン・リーグの打撃成績上位にも阪神勢は不在。北條の打率2割5分3厘が最高で中谷、一二三らも伸び悩む。一方、6本塁打のルーキー横田など伸び盛りの逸材に磨きもかけたい。

 67歳の内田氏だが、体力面での支障はない。現役から45年間、ユニホームを着続け、情熱は冷めない。巨人、広島の強力打線を築いた名指導者が阪神入りする可能性が出てきた。

 ◆内田順三(うちだ・じゅんぞう)1947年(昭22)9月10日、静岡県生まれ。東海大一から駒大。13年間の現役生活はヤクルト、日本ハム、広島で主に外野手としてプレーし、計950試合出場で打率2割5分2厘、25本塁打。82年に現役引退後、83年に指導者に転身。広島、巨人で打撃コーチを務め、12年に広島2軍監督に就任。177センチ、75キロ、左投げ左打ち。