<セCSファーストステージ:阪神0-0広島>◇第2戦◇12日◇甲子園

 東京ドーム決戦へ、阪神の4番マウロ・ゴメス内野手(30)が加速した。モヤモヤが募る0行進の中で、確かな手応えを得るマルチ安打をマーク。11回裏の打席を終えて3番手福原と代わり、初めてのファイナルステージ進出はベンチから見届けた。

 「(突破は)初めてのことなのでうれしい。しっかりと自分のできることをやって頑張りたい」

 ゴメスの美しい放物線がこの試合、最も得点に近づいた瞬間だった。4回2死走者なし。広島大瀬良の外角球をたたいた。打球は悲鳴がこだまする真っ赤な左翼席へ進んだ。惜しくもオーバーフェンスとはいかなかったが、ロサリオのグラブをはじいてフェンスに達する二塁打。満員の甲子園を沸かせた。7回先頭ではしぶとく二塁頭上を越す右前打。初戦の無安打から一転し、気分上々だ。

 実はこの日の朝、小さなミスを犯していた。試合前練習中、大好物のカフェオレを持ち歩いていた。合間を見つけては野球に似合わない液体を口に運んだ。「毎朝飲むんだけど、今日は飲み損なって、練習に持っていったんだ」。決戦前でも関係ない。好物を好きなだけ取り入れ、気持ちを落ち着かせて結果につなげた。

 宿敵巨人に対しては、今季チーム別最多の6本塁打をマーク。慣れないCSの雰囲気も、甲子園の2試合で十分味わった。宿敵をたたく条件は整った。【松本航】