先輩に「恩返し」を果たす-。10月30日のドラフト会議で巨人から4位指名された仙台育英高・橋本到外野手(3年)が、歓喜の指名から一夜明けた31日、多賀城市内の同校グラウンドで練習。同校1年先輩のヤクルト由規から祝福の花が届けられたことを明かし、16日の同校OB戦などで「先輩超え」の準備を進める考えを示した。

 運命の日から一夜明け、橋本の表情は充実感に満ちあふれていた。「目覚めは最高でしたね」。前夜は焼き肉で家族から祝福され、この日の授業前には、クラスメートから拍手がわき起こった。メールも30件以上届き、橋本は「まだ全員に返信できていないです」と苦笑いで話した。

 サプライズも橋本に待っていた。前日のドラフト終了後に帰宅すると、午後7時すぎに宅配便で花が届けられた。送り主はOBの由規だった。携帯電話にかけると「とりあえず良かったな。落ち着いたら、また話そう」と言ってくれたという。先輩からの粋な祝福に橋本は「いい先輩ですね。玄関で、いいにおいがしてます」と笑顔で感謝した。

 それでも新天地では、同じセ・リーグで敵同士となる。「戦う以上は負けたくない。それが恩返しになると思うので」。この日も、木製バットで約1時間の打撃練習に汗を流した。16日には同校グラウンドでOB戦が行われる。由規は参加できないが、日本ハムから3位指名された三菱ふそう川崎・矢貫俊之投手(24)も出場する。3年生チームの主将として臨む橋本は「少しでも早く、プロに近い人と対戦したかった。いい機会になる」と意気込む。

 連休明けの4日にも巨人から指名あいさつを受ける予定。「選手名鑑を買って、早く名前を覚えないと」と橋本。先輩と同じ舞台に立つ日に向けて、着々と準備を整える。【由本裕貴】