日刊スポーツのニュースサイト、ニッカンスポーツ・コムです。


  1. 野球
  2. 仁志敏久 プロ野球のススメ

  スカパー!e2

「3強」苦悩の要因は主軸打者

不振にあえぐ中日和田一浩
不振にあえぐ中日和田一浩

 開幕が遅れたことであっという間に交流戦が来たという感じです。ここまでの戦況を見てみると、パ・リーグは貯金が出来ている3つと苦しんでいる3つに少しずつ差が出来ています。中でもソフトバンク、日本ハムが序盤から勢いよく飛び出し、ここまで理想的にゲームを運んでいます。セ・リーグは、というと昨年まで3強と言われた巨人、中日、阪神がことごとく苦しんでおり、貯金を続けているヤクルト、広島の頑張りはとても興味深いものがあります。主軸打者が苦しんでいることがそのままチームに反映し、今年はいかに得点力が重要かということが伺えます。

 昨年の交流戦、上位6チーム、下位6チームが見事にパ・リーグ、セ・リーグと分かれてしまいました。原因としては投手力ということが挙げられるかもしれません。もちろんセ・リーグにも素晴らしいピッチャーはたくさんいるのですが、頭数の違いは否めないかもしれません。ここのところのドラフトを考えると分かりますが、即戦力と言われるようなピッチャーは偶然にもパ・リーグが引き当てています。いいピッチャーが多ければチーム内でそれを目指すという相乗効果が生まれます。いいお手本という意味もありますが、それに近づき、追い越さなければ自分の出番はないわけですから必然的にどのくらいのことをやらなければならないかを知らされるのです。そのためいいピッチャーを抱えているチームは自然と投手力が増し、野球そのものの質も変わっていくのです。

交流戦は好調ヤクルトに注目

ハーラートップタイの4勝目を挙げたヤクルト由規
ハーラートップタイの4勝目を挙げたヤクルト由規

 今年の交流戦の楽しみはズバリ、ヤクルト! これまでの戦い方が非常に理想的で、ボールの影響が良い方に表れたチームは少なく、頭角を現して来た若いピッチャーがパ・リーグとの戦いでどんな結果を残すのか。好調ヤクルトが勢いをこのまま保てるかどうかは交流戦次第になるかもしれません。初戦は日ハム。お互いにいい流れでの戦いなだけにどちらがどう攻略するのかが注目です。

 ソフトバンク、広島の対決も同じように現在好調同士ということで楽しみです。ソフトバンクは投手、野手が共に充実し、チーム力としては12球団トップと言っても過言ではありません。特に好調な1、2、3番がセ・リーグを相手にどう機能するかが注目すべきところです。広島にとっても貯金を保つ上では交流戦序盤でつまずくわけにはいきません。これまでの頑張りが勢いだけではないことを証明するためにも堂々たる野球を期待したいと思います。

 

 被災した仙台に向かうジャイアンツ。楽天の本拠地とはいえ、かつては多くのジャイアンツファンがいた東北での試合。ひと際大きな期待を持って迎えてくれるファンが待っています。勝敗と共に大きな意味を持つ敵地での初戦となるでしょう。

 リーグを越えた戦い、あまり見ることの出来ないここ一番でのバッター対ピッチャーの対決。プロ野球の面白さを交流戦で改めて感じてほしいと思います。

仁志敏久(にし・としひさ)
仁志敏久(にし・としひさ)
 1971年(昭46)10月4日生まれ。茨城県出身。常総学院高では1年夏に遊撃のレギュラーとして2学年上の島田直也投手とともに甲子園準優勝。夏の甲子園は3年連続出場。早大では4年春に早慶戦史上初のサヨナラ満塁弾を放つなど、当時リーグ最多タイ記録の1シーズン6本塁打。日本生命を経て、95年ドラフト2位で巨人に逆指名入団。1年目から活躍し96年新人王。99年6月25日広島戦でサイクル安打。99~02年二塁手でゴールデングラブ賞。07年小田嶋プラス金銭でのトレードで横浜移籍。09年退団。翌10年に米独立アトランティックリーグ・ランカスター入団。31試合出場で打率2割8厘、1本塁打、3打点。同年6月引退。先頭打者本塁打24本はプロ野球歴代7位。日本でのプロ通算は1587試合出場で打率2割6分8厘、1591安打、154本塁打、541打点。右投げ右打ち。171センチ、80キロ。

バックナンバー

佑が持つ知恵と工夫
 野球のない春を迎えるのはずいぶん久しぶりですが、見る側になるのも悪くないものです。今週からこのページで私、仁志敏久の野球話にお付き合いください。・・・
[続きを読む]
災害が起こる度に人々は結ばれてきた
 東日本大地震の被害に遭われた方々に、この場を借りて心よりお見舞い申し上げます。何が出来るのか、何をすべきかに戸惑い・・・
[続きを読む]
大補強ソフトBがV最右翼
 異例の開幕となった2011年シーズン。特別な思いを胸にフィールドに立つ選手達、希望を選手に託して熱い声援を送るファンが被災者の方々だけでなく・・・
[続きを読む]
嶋の本塁打は球界の今あるべき姿
 今年は多くの人々がプロ野球の開幕に関心を持ち、待望してくれました。節電による日程変更は今後も続きますが・・・
[続きを読む]
佑の大きな勝因は四球の少なさ
 セ、パ両リーグともにだんご状態のスタートとなり、今後の予測がしにくい面白いシーズンになりそうです。さて、今年は即戦力としての・・・
[続きを読む]
宮本がネクストで見つけた打撃
 ヤクルトの強さが目立った4月のセ・リーグ。若い投手陣がめきめきと頭角を現し、投手王国の礎を着々と作り上げています。・・・
[続きを読む]
統一球がロースコア戦増やした
 今年は全般的にロースコアのゲームが多くなっています。これはボールが変わったことが全てでしょう。これまで使用するボールのメーカーは・・・
[続きを読む]
「3強」苦悩の要因は主軸打者
 開幕が遅れたことであっという間に交流戦が来たという感じです。ここまでの戦況を見てみると、パ・リーグは貯金が出来ている3つと苦しんで・・・
[続きを読む]
05年ロッテ戦では不甲斐なさに涙
 各チーム持ち味が良く出ていて非常に面白い交流戦となっています。やはり2試合ずつとなるといいピッチャーが次々と出るこということもあって・・・
[続きを読む]
雨天中止も選手には貴重な余暇
 例年よりずいぶん早く梅雨入りしてしまい、長い梅雨になるとのこと。毎年この時期に行われる交流戦はやはり雨の日が多く・・・
[続きを読む]
ソフトBの強さは負けない防御
交流戦で快進撃を続けるソフトバンク。チームとしての完成度は12球団でもトップと言えるでしょう。とにかくピッチャーを中心とした・・・
[続きを読む]
パ交流戦優位は「男らしさ」

そろそろ交流戦が終わり、通常のペナントレースが始まります。結局今年もパ・リーグ優勢のまま終わりそうですが、なぜこのような結果が・・・
[続きを読む]




日刊スポーツ購読申し込み 日刊スポーツ映画大賞