パ交流戦優位は「男らしさ」
- 交流戦絶好調のソフトバンク本多雄一(左)と川崎宗則は対ヤクルト戦でも勝利し、歓喜のハイタッチ(6月11日)
そろそろ交流戦が終わり、通常のペナントレースが始まります。結局今年もパ・リーグ優勢のまま終わりそうですが、なぜこのような結果が続くのか? セ・リーグとしては絶対にこのままでいいわけがありません。何とかしてこの流れを断ち切らなければならないのですが、いったい何が原因なのか?
1つにはもともとの気質が挙げられます。力勝負が多いと言われていた時代があり、それが良くも悪くもパ・リーグの真骨頂と言われていました。自分の持ち味で堂々と勝負をする。男らしさが際立つような野球です。
またマスコミチームがないことも要因の1つです。セ・リーグのいくつかの球団と違って優先的に大きく報道する媒体がなかった。そのため、少々のミスにいちいち突っ込んでくるような人間がいなく、思い切ってプレーすることが出来る。重箱の隅をつつかれ、小さなミスでも敗因とされればいずれは「成功する」という目標よりも、「失敗しない」という防御に走ってしまいます。先日、星野監督も言っていました、「そういうことがあるからパ・リーグの選手は思い切ってプレー出来るんだろうな」と。
そしてピッチャーが育つ理由として、パ・リーグは早くから狭い球場がなくなっていました。そのため、どのピッチャーでも生命線となる真っ直ぐで思い切って勝負出来る。結局、バッターが一番苦にするのは速いボールです。その速いボールがあるから変化球にも引っかかり、その変化球を意識するから真っ直ぐがより効果を発揮するのです。
セの若い世代こそ歴史を作れ
- 2010プロ野球ドラフト会議で斎藤佑樹の交渉権を獲得し、ガッツポーズの日本ハム藤井純一球団社長(2010年10月28日)
バッターにとっても大きな球場というのは個性をはっきりとさせてくれます。ホームランバッターははっきりと意識して目指さなければその類にはなれないし、力がなければ自分が生きる道を探さなければならない。また、球場が大きければ特に外野は守備範囲が求められます。DHがあるという強みもありますが、打ってくれれば守備には目をつぶるということは出来ません。こういったことを総合して考えると、野手に関しても高いクオリティーが求められます。
それからもう1つ、ドラフトの結果というのもあるでしょう。近年競合するような選手はだいたいパ・リーグが引き当てています。単なるくじ運ですが、大事なところです。
これらの私見が当てはまっているかは分かりませんが、今、パ・リーグが強くなったというのではなく、強くなる歴史があっての結果であり、その空気の中でいい選手達が順調に成長したということなのではないかと思うのです。ですからセ・リーグに関しても、若い世代が新たな歴史を作り、将来、パ・リーグを圧倒する強さを目指してもらいたい。野球選手は技術に関しては世間のニーズに応える必要はないし、無責任な声にいちいち反応する必要もありません。選手はただただ向上を目指すべきであり、チームと自分の生きる道を模索すべきです。超一流の選手、チームを目指して、気持ち新たにペナントレースを戦ってもらいたいと思います。
12回にわたり、ご愛読ありがとうございました。
- 仁志敏久(にし・としひさ)
- 1971年(昭46)10月4日生まれ。茨城県出身。常総学院高では1年夏に遊撃のレギュラーとして2学年上の島田直也投手とともに甲子園準優勝。夏の甲子園は3年連続出場。早大では4年春に早慶戦史上初のサヨナラ満塁弾を放つなど、当時リーグ最多タイ記録の1シーズン6本塁打。日本生命を経て、95年ドラフト2位で巨人に逆指名入団。1年目から活躍し96年新人王。99年6月25日広島戦でサイクル安打。99~02年二塁手でゴールデングラブ賞。07年小田嶋プラス金銭でのトレードで横浜移籍。09年退団。翌10年に米独立アトランティックリーグ・ランカスター入団。31試合出場で打率2割8厘、1本塁打、3打点。同年6月引退。先頭打者本塁打24本はプロ野球歴代7位。日本でのプロ通算は1587試合出場で打率2割6分8厘、1591安打、154本塁打、541打点。右投げ右打ち。171センチ、80キロ。
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