ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表のヤクルト山田哲人内野手(24)が今キャンプ3度目の実戦でようやく快音を響かせた。17日、DeNAとの練習試合で3回に中前へ初安打、7回には無死二塁から左前へ適時打を放った。今季開幕カードで対戦する相手から、4打数2安打1打点で勝利に貢献。WBCへ向け、着実に調子を上げてきた。

 山田のバットから、ついに快音が響いた。3回、DeNA砂田の138キロ直球を中前にはじき返した。17年の初安打にも「力強い打球でもないし、好まないヒット。1本出ても、ホッとしていません」と厳しかった。7回には井納のスライダーを左前へ運び、2安打1打点としたが、WBC世界一と3年連続トリプルスリーを目標とする男に満足した様子はなかった。

 打球に納得できなかった。2安打ともコースは外寄りの低めで、ゴロで内野手の間を抜けた。「あのコースなら、ライナー性の打球を飛ばさないといけない」とイメージには程遠かった。「シーズン中なら『ヨッシャー』と思うけど、この時期は思った通りにいくのがベスト」。開幕カードで対戦するDeNAの先発ローテ候補を打ち砕いても、課題ばかりを口にした。

 修正点は自覚している。1つ目は、体の開きの早さだ。初回の第1打席、平凡な二飛に倒れた。「左肩か左腰のどっちかが開いていると思う。ビデオで確認したい」。2つ目は、バットの出し方。「どうしても打球を上げようとして、下から出してしまう悪い癖が出ている」と反省した。

 山田の調子を上げる「ティー打撃」は、侍ジャパンでも実施する。この日の試合終了後も、室内練習場で杉村チーフ打撃コーチとティー打撃を行った。WBCに万全で臨むため、例年より約2週間前倒しして第3クール初日の11日から開始している。「外角の打ち方とか、ちょっとずつ良くなってきた」と、手応えを口にした。

 23日からの侍ジャパン強化合宿(宮崎)では、杉村コーチはいない。代役として、ともに代表チームに合流する江花正直ブルペン捕手に依頼して続行することが可能になった。

 3打席連続三振で無安打に終わったDeNA筒香とは対照的に、山田は結果を残した。「疲れもあるし、状態はまだ5、6割。焦らずにティー打撃をやっていけば、まだまだ良くなる。これから(安打を)積み重ねたい」。不安を一掃した山田が、量産態勢に入った。【鹿野雄太】