プロボクサーには取材に協力的な好青年が多いが、中でもミニマム級で世界主要4団体のベルトを総なめした高山勝成(33=仲里)の性格の良さは一級品だ。どんな質問にでも笑みを浮かべながら、誠実に答えてくれる。

 だからこそ「支援したい」という関係者も多い。先日、新後援会長に就任した米田真理子氏(67)も、高山の人柄に魅了された1人だ。関西を中心に調剤薬局を展開する米田薬局グループの代表取締役CEOを務め、国際ロータリークラブの要職も歴任している米田氏は、プロ転向前から高山と親交があった。「謙虚で、おごらない。ベルトをいくつ取っても、変わらずに礼儀正しい。だから応援したいんです」と、高山の“心”にほれている。

 そんな高山が、リオデジャネイロ五輪も佳境に入る時期の8月20日、日本人最年少世界王者を狙う加納陸(18=大成)とWBO世界ミニマム級王座決定戦(兵庫・駒ケ谷体育館)に臨む。日本人歴代最多の世界戦16戦目は、4度目の世界王座返り咲きという偉業もかかる。

 高山にとって加納は、これまで何度も胸を出してあげた“弟分”のような存在。だが、いくら性格のいい男でも、リング上は別だ。昨年大みそかにIBF同級王座から陥落し「どうしようかな…」と一時は引退も考えたが、再び戦いの場へ戻ってきた。33歳という年齢を考えると、負ければもう後がないことも重々承知。それでも、高山は「ベストを尽くせば問題ない。何より、自分は勝利に飢えてますから」。悲壮感など漂わせない笑みを浮かべ、6本目のベルト奪取を誓った。【木村有三】