世界ボクシング評議会(WBC)は6日、ダブルタイトルマッチが開かれた東京・大田区総合体育館で、静岡地裁に再審請求を認められ、釈放された元プロボクサー袴田巌さん(78)に名誉チャンピオンベルトを授与した。袴田さんは入院しているため、姉の秀子さん(81)が代理で受け取り、金色に輝くべルトを高々と掲げた。

 世界戦の前にリングで授与式が行われ、WBCのマウリシオ・スライマン会長が「名誉チャンピオンベルトを贈呈できることを光栄に思う」とあいさつ。秀子さんが「ボクシング界のみなさまにはお世話になりました。ありがとうございました」と感謝の言葉を述べると、拍手とともに「おめでとう」という歓声が上がった。

 ベルトは本物のチャンピオンベルトと同じ仕様で、袴田さんの写真が取り付けられている。授与式を終えた秀子さんは「早くベルトを巌に見せてあげたい。喜んでくれると思う」と笑顔で話した。近くベルトを持って入院先の病院を訪れる。

 WBCは、米国で殺人事件の犯人とされ、19年の獄中生活後に無罪となった元ボクサー、ルビン・カーター氏にベルトを授与した例がある。日本プロボクシング協会は「袴田さんは日本のカーターだ」と訴え続け、WBCが昨年、支援を表明。釈放後にベルトを授与することを決めた。