格闘家石井慧(23=アイダッシュ)が、9カ月ぶりの日本リング復帰で心身ともに成長した姿を見せる。FEGは22日、都内で会見し、DREAM16(25日、愛知・日本ガイシホール)で石井がミノワマン(34=フリー)と無差別級ワンマッチを行うと発表した。日本では、昨年大みそか「Dynamite!!」の吉田秀彦戦以来の試合。会見で相手に敬意を示すなど、挑発を繰り広げた吉田戦とは対照的な姿勢をみせた。

 ミノワマンの印象を聞かれ、緊張の面持ちで「小さいころからミノワマンの試合を見ていました。あこがれの相手とやれて幸せです」と話した。吉田戦の前は「吉田先輩のあご端にパンチを打ち込めるのは幸せです」と大口をたたき、柔道でも総合格闘技でも大先輩の吉田に敬意を払うことはなかった。しかし、この日は「まだガムシャラにやっているところ。(試合の)見どころなどにこだわらずにやっていきたい」と、謙虚な言葉ばかりが口をついて出た。

 会見に同席した笹原圭一イベントプロデューサー(EP)は「経験を積んで、格闘技が簡単じゃないということを体感したのではないか。デビュー戦とは違う。化け物が覚せいしようとしているのかな」と、変身ぶりに驚嘆。9カ月ぶりに会ったという谷川貞治EPは「いい体をしている。105キロと聞いたけど、スリムな体ですごい」と、心身の成長を認めた。

 石井はほろ苦デビューの後、海外で2勝1無効試合と実績も積んだ。吉田戦のイメージをどうぬぐい去るのかという耳の痛い質問にも「試合を見てもらって、感想はみなさんに任せます」。飾らない姿が、真の格闘家への脱皮を予感させた。【森本隆】