25日に鮮烈なプロデビューを飾った村田諒太(27=三迫)が、いきなり日本ミドル級1位にランクされた。27日に開かれた日本ボクシングコミッション(JBC)の9月度ランキング委員会で決まった。JBCによると、プロデビュー戦直後に日本1位に入るのは史上初となる。プロ初戦で東洋太平洋同級王者・柴田明雄(31=ワタナベ)に2回TKO勝ちした試合内容が高く評価され、同委員会でも満場一致で決定した。

 ミドル級の日本最強ボクサーに圧勝した村田の衝撃は、専門家の間でも大きく広がっていた。JBCの森田健事務局長(78)を委員長とし、ボクシング専門誌ライター、運動記者クラブの幹事社らで構成されるランキング委員会が開かれ、村田が日本ミドル級1位になることが決まった。森田委員長は「ノンタイトル戦とはいえ東洋太平洋王者に勝っている。日本ランキング1位となるのは当然のことです」と説明した。

 日本初の五輪金メダリスト故桜井孝雄氏は、65年のプロデビュー戦で日本ランカーのアトム畑井に判定勝ちし、日本スーパーバンタム級6位に入った。68年メキシコ五輪銅メダルの故森岡栄治氏も69年に日本ランカーのバロン熊沢にKO勝ちデビューを飾り、日本同級6位にランク。また日本ライトフライ級新王者となった井上尚弥(大橋)もデビュー戦(8回戦)で東洋太平洋ランカーにKO勝ちしたが日本同級6位だった。この3人の6位が最高順位だったが、あっさり村田が塗り替えてしまった。

 森田委員長は「それは試合内容が良かったから。満場一致で決まった」と史上初となる「初登場1位」をたたえた。また現役の東洋太平洋ミドル級王者にTKO勝ちしていることもあり、来月上旬に開かれる予定の東洋太平洋のランキング委員会でも村田のランク入りが検討される見通しだ。

 この日、家族とともに久しぶりの休暇を過ごしていた村田は、日本ミドル級1位の朗報に驚いている様子だった。「初めてのことなので、大変、光栄です。ただもっと価値のあるランキングに入れるように頑張ります」とコメントし、早くも世界ランキング入りを目指す姿勢も示した。11月にも予定される外国人とのプロ2戦目はさらに注目されそうだ。【藤中栄二】

 ◆日本ミドル級の現状

 現在の日本ミドル級王者は中川大資(帝拳)。今月3日の同王座挑戦で新王者となった中川だが、試合中に骨折した右拳の手術を受けて全治6カ月。1位の村田は三迫ジム所属だが、試合プロモート契約は中川と同じ帝拳プロモーション。事実上の同門となり、現時点で同王座の挑戦はできない。東洋太平洋同級王者の柴田を倒しているため、村田は世界王座を見据えている。また日本2位に入ったのは今月4日に再起戦に臨んだ元WBA世界スーパーウエルター級暫定王者の石田順裕(グリーンツダ)だった。

 ◆ランキング入り条件

 日本ランキングはJBCがマスコミ代表者を交えて毎月1回、ランキング委員会を開催し、各階級の順位を決定。1勝以上挙げたA級ボクサーを対象にランキングを決める。毎年行われる全日本新人王を制覇すれば自動的に各階級の10位に入る。試合で日本ランカー、あるいは各国上位ランカーを撃破すればランク入りの対象。東洋太平洋ランキングも、東洋太平洋連盟がJBCと同様の手順で順位を決定する。また世界ランカーや各国王者を撃破すれば世界ランキング入りすることが通例。