<新日本:G1クライマックス24>◇8日◇横浜文化体育館

 史上最大のG1クライマックス優勝決定戦は禁断の同門カード、オカダ・カズチカ(26)と中邑真輔(34)の対決に決まった。Bブロックはオカダが8勝2敗でA・J・スタイルズに並んだが、直接対決で勝っているため決定戦進出。Aブロックは中邑がバッドラック・ファレを下して突破した。オカダと中邑は、ともにヒールユニット「CHAOS」(ケイオス)に所属。日ごろは対戦しない両者が、10日の西武ドームで今夏の王者の座を争う。

 右腕を徹底的に痛めつけられても、オカダには最終兵器が残っていた。鈴木みのるのパンチをアゴに受け、ふらふらになりながら、ロープにとんだ相手に、ドロップキック。191センチが高く舞い上がり、上から鈴木のアゴに両足を突き刺した。相手の動きを完全に止め、とどめは痛めた右腕でレインメーカー。2年ぶりのG1制覇へ、西武ドームへの道を切り開いた。

 リング上では、痛めた右手を上げられず、左腕だけでレインメーカーポーズを決めた。決勝の相手は同じCHAOSの兄貴分、中邑に決まった。過去の対戦は12年のG1で1回だけ。「前回は負けたけど、お互い2年たち、変わらないことはない。今度は負けるつもりはない」と言い切った。マネジャーの外道も「レインメーカーが望んでいたマッチアップ。リーグ戦ではなかったスリルを中邑なら間違いなく味わえる。西武ドームももちろん勝ちます」と豪語した。

 大事な一戦でレベルの違いを見せつけた。プロレスラーなら誰もが使うドロップキック。オカダが使うと、勝負を決める必殺技になる。外道は「あのドロップキックを打てるレスラーは日本にいない。プロレス界で一番有名な技をメーンで必殺技にしたのはオカダだけ」と解説する。一般のレスラーなら、相手の胸板目掛け下から上に足が当たるが、オカダは上から下に突き刺さるようにヒットする。191センチで50メートル5秒84という瞬発力と身体能力を持つからこそできる技だ。

 レインメーカーとなってから二人三脚で歩いてきた外道を「父親以上の存在」とオカダは尊敬する。その外道が今年はレスラー生活25年を迎えた。2年ぶりのG1制覇をともに分かち合うのが目標だ。レインメーカーとなって唯一負け越している日本人選手を超えてこそ、名実ともに新日本NO・1となる。【桝田朗】