<IGF:GENOME

 FIGHT2>◇23日◇東京・両国国技館

 IGF王者石井慧(27)が、流血によるドクターストップでミルコ・クロコップ(39=クロアチア)に敗れ、初防衛に失敗した。打撃、寝技と、クロコップに圧力をかけながら、1回3分過ぎにひじ打ちで前頭部から出血。2回2分37秒、4度目の中断で試合続行不可能となり負けが決まった。クロコップは総合格闘技で対日本人13戦無敗となった。

 おびただしい流血の中、石井はグローブで目に入った血をぬぐいクロコップに突進した。2回2分すぎ。最初にクロコップが試合を止めるようアピール。和田レフェリーが石井の頭部を確認し、試合を止めた。

 過去の日本人が打撃を避け、寝技を狙ったのに対し、石井はどちらでもクロコップに互角以上の戦いを演じた。サウスポーの姿勢から左フックを命中させ、相手の左蹴り足をつかまえマウントポジションに移行。左右のショートパンチを繰り出し、試合を優位に進めた。しかし、一瞬のスキをついた左ひじ打ちで前頭部を流血。それが命取りになった。

 「普通に血が出ていただけ。目は見えていたし、あれで止められたら何も言えない。ここまで見に来た人は、どちらがあれ(有利)だったか分かると思う」と、石井は悔しそうに話した。約2カ月かけて準備してきたクロコップ対策。「ほかの日本人みたいに打撃を避けたわけじゃない。ほかの日本人と違う」と言う言葉に無念さがにじんだ。

 試合後、アントニオ猪木会長は「ちょっと後味悪い試合だった。アクシデントはしょうがないが、もう1回再戦させたい」と話した。クロコップは12月31日のイノキボンバイエまで、あと1試合の出場契約を残しており、不完全燃焼の石井にとっては、再戦の可能性も出てきた。【桝田朗】

 ◆IGF和田良覚レフェリーの話

 (流血が)同じ箇所で(医師のチェックを受けるために一時試合を止めるのが)4回目だったので試合を止めた。ミルコのひじ打ちでの流血はビッグポイント。試合では大きなダメージだと判断します。(石井は)パンチを受けて傷が開いていたし、かなり殴られていた。

 ◆石井慧の総合格闘技戦

 09年大みそかの吉田秀彦戦でプロデビュー(判定負け)。11年大みそかにヒョードルに1回KO負けした後は、13年大みそかに藤田和之に判定勝ちするなど今回のクロコップ戦まで8連勝。戦績は13勝1分け3敗1無効試合。